ELI LILLY & CoLLY

時価総額
$9887.6億
PER
医薬品の研究開発・製造・販売の米国最大手。GLP-1系抗肥満薬や糖尿病薬、バイオ医薬品を含む製品群を展開。2023年12月にPOINTを約10.4億ドルで買収、2024年5月にウィスコンシンの製造施設を約9.25億ドルで買収。米国・欧州・日本・中国を中心に世界展開。

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企業概況
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業績概況
136文字)
テーマ
1項目)
ブランド
7項目)
ライバル企業
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同業種の日本企業
5社)

事業内容

ELI LILLY & Coは、主に処方医薬品の研究・開発・製造・販売を手がける大手製薬企業です。同社は糖尿病や肥満、がん、免疫疾患、神経・精神領域など患者ニーズの大きい治療分野に注力し、医薬品に加えてデジタル医療サービスや治療支援プログラムも展開しています。自社で臨床開発や生産設備を持ち、買収や提携でパイプラインを強化しています。

同社の主要な顧客は医師や病院、調剤薬局、卸売業者、そして医療保険者や政府といった公的・私的な支払者で、販売は各国の流通網を通じて行っています。売上の大半は処方薬の販売収入で、特に米国市場が大きな割合を占めます。販売では卸売業者や保険者への値引き・リベート、共同販売やライセンス契約が収益構造の重要な要素になっています。

事業は製品領域別に分かれており、糖代謝関連薬、抗がん薬、生物製剤やバイオ医薬、神経・精神科向け薬などが主要なラインです。加えて放射性医薬や遺伝子治療など新規モダリティへの投資や、戦略的買収での能力補完を進めています。競合や後発薬の登場、規制や保険償還の動きが収益に影響を与えるリスクもある点に留意が必要です。

経営方針

同社は近年の高成長を維持することを成長戦略の中核に据えています。2024年の売上高は約450億ドル(前年比32%増)に達し、純利益は約106億ドルと前年の倍増水準に達しました。こうした成長を受けて同社は製品の販売拡大だけでなく、株主還元の強化も目指しており、2024年12月には150億ドル規模の自社株買い枠を取締役会が承認しています。とはいえ収益が特定の主力製品に依存している点も認識しており、持続的な成長のためにパイプラインの補強と市場アクセスの改善を並行して進めています。

重点投資分野として同社は代謝領域(糖尿病・肥満)を中心に、がんの放射性医薬や神経系の遺伝子治療など成長が期待される領域へ資源を振り向けています。近年の買収事例では、放射線治療関連のPOINTを約10.4億ドルで、耳の遺伝性疾患向けの遺伝子治療を手がけるAkouosを約3.27億ドルで取得し、注射剤の生産能力強化のためにウィスコンシンの製造拠点を約9.25億ドルで取得しました。加えて2024年にはIPR&D(取得した研究開発権利)の費用として約32.8億ドルを計上しており、内製と買収による技術獲得を差別化戦略に位置づけています。

新市場開拓や事業拡大では、直接患者と接点を持つ仕組みの整備に注力しています。米国で開始したLillyDirectは肥満、片頭痛、糖尿病の患者にオンライン診療や処方薬の宅配を提供するプラットフォームで、アクセス改善と服薬継続を狙った施策です。地域別には2024年の売上が米国約303.8億ドル、欧州約69.2億ドル、中国約16.6億ドル、日本約18.1億ドルと分布しており、既存市場の深耕と成長市場でのプレゼンス強化を両輪で進めています。なお、肥満治療薬の保険適用や支払者(ペイヤー)対応は障壁となるため、同社は保険者との交渉や導入プログラムの整備にも取り組んでいます。

技術革新に関して同社は研究開発とデジタル化を同時に推進しています。放射性医薬や遺伝子治療といった新しい治療モダリティの開発に加え、患者向けのデジタルサービスや臨床試験の効率化を図る技術導入に投資しています。サイバーセキュリティやデータ保護にも組織的に投資しており、業界標準の枠組みに基づく管理体制を整備してリスクを抑えつつ、人工知能などの新技術は利点とリスクの両面を踏まえて活用しています。総じて同社は内製力とM&Aを組み合わせ、商品化の速度と市場到達力を高めることで持続的な競争優位を築こうとしています。