LINDE PLCLIN

時価総額
$1925.3億
PER
産業ガス事業の世界最大手。酸素・窒素・水素の大容量供給とエンジニアリング・オンサイトプラントを展開。2023年1月5日にnexAir買収、2023年10月23日に150億ドルの自社株買戻しプログラム承認。北米・欧州・アジア中心で2024年売上高330億ドル超、海外比率65%。

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企業概況
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事業内容

LINDE PLCは世界有数の産業ガス企業で、酸素・窒素・アルゴンなどの大気ガスや水素・ヘリウム・二酸化炭素などのプロセスガスを生産・供給しています。加えて空分離装置や各種プラントの設計・建設を行い、ガスの貯蔵や輸送、現地での運用・保守サービスも提供しています。

同社の主要顧客は医療機関、化学・石油精製、金属・鉱業、食品・飲料、電子・半導体など幅広い産業で、大口で安定的な需要を持つ顧客向けには敷地内プラントを長期契約で供給し収益の柱にしています。小口向けには液体タンクローリーやボンベでの配送を通じた商用・包装ガス事業があり、長期契約やエネルギー費の価格転嫁で収入の安定化を図っています。

事業は大きく敷地内供給、商用・液体配送、ボンベによる包装ガス、そしてプラント設計・建設を行うエンジニアリングに分かれています。特にエンジニアリングでは水素の生産・液化・貯蔵・供給に関わる技術や二酸化炭素の回収・利活用に力を入れ、脱炭素分野での需要取り込みを進めています。

経営方針

同社は安定したキャッシュフローと持続的成長の両立を目指しています。2024年の売上高は330億5千万ドルで、世界最大級の産業ガス企業として地理的・顧客セグメントの多様化を成長の基盤にしています。収益の約65%が米国外で発生しており、長期の供給契約(通常10〜20年)による基盤需要と、価格改定条項を通じたコストの転嫁を組み合わせることで収益の安定化を図っています。資本配分では、2023年承認の総額150億ドルの自社株買いプログラムを成長と株主還元の両面で活用しており、2024年末時点で約31億ドルを消化しています。

同社は重点投資分野として顧客サイト向けの現場設置型プラント、長距離供給を支えるパイプライン網、そして水素や電子材料向けの特殊ガスに注力しています。数千に及ぶ生産拠点と、米国や中国にある大規模パイプラインは供給信頼性という競争優位性の源泉であり、顧客に対して長期契約と併せて安定供給を提供することが差別化戦略です。エンジニアリング部門はプラント設計・建設から運転支援までの一貫した技術力を持ち、顧客関係の強化と生産性向上につながるデジタルサービスの導入も進めています。

新市場開拓と事業拡大では、買収と有機成長を併用する方針をとっています。たとえば2023年に米国のnexAirを約8.66億ドルで完全子会社化し、2024年の買収額は約3.17億ドルにのぼります。一方で非中核資産の売却やポートフォリオ最適化も行っており、2024年の事業売却等の純額は約1.7億ドルでした。エンジニアリング部門は売上全体の約11%を占め、特に水素製造・液化・貯蔵・供給の一連の事業を通じて新興市場やクリーンエネルギー需要の取り込みを図っています。

同社は技術革新によって環境対応と収益性の両立を目指しています。水素のバリューチェーン全体や二酸化炭素の回収・利活用技術など、脱炭素に資する技術開発を推進しており、機器販売やプラント建設から得られる受注も重要な収益源です(2024年の機器販売に係る売上は約23.22億ドル)。また、プラントの稼働効率を高めるデジタルソリューションや省エネ技術の導入により、運営コスト低減と顧客への付加価値提供を同時に進めています。これらの取り組みにより、同社は市場でのリーダーシップを維持しつつ、エネルギー転換の需要を成長機会に変えていくことを目指しています。