LENNOX INTERNATIONAL INCLII

時価総額
$174.3億
PER
住宅・商業向け暖冷房(HVACR)事業の北米大手。高効率空調・冷凍機器と設置・保守サービスを展開。2023年10月にAESを買収、2023年第4四半期に欧州事業を売却、2024年売上5,341百万ドル。米国・カナダ中心に展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

LENNOX INTERNATIONAL INCは、住宅向けと商業向けの空調・暖房・冷蔵機器を設計・製造・販売する企業です。同社は空調機器やヒートポンプ、暖房装置、商業用冷凍設備といったハードウェアを主力とし、設置や保守といったサービスも手掛けています。

同社の主要な販売先は独立した取付業者や流通業者、商業施設を運営する企業などで、販売チャネルは直販やディストリビューター、同社運営の店舗を組み合わせています。売上は機器販売が大半を占め(おおむね8割前後)、残りがサービス契約や保守などのサービス収入で成り立っています。

事業は大きく住宅向けと商業向けの二つのセグメントで展開しており、住宅向けでは家庭用の暖冷房機器や室内空気質改善製品を新築向けと交換市場向けに販売しています。商業向けでは小~中規模の事業所向けのユニット型空調や店舗・倉庫向けの冷凍機器を扱い、ナショナルアカウント向けの設置・保守サービスや多棟住宅向けの交換・リサイクル事業なども強化しています。

経営方針

同社は北米を中心に着実な成長と収益性の向上を目指しています。2024年の売上高は約53.4億ドルで、住宅向けのHome Comfort Solutionsが約35.8億ドル、商業向けのBuilding Climate Solutionsが約17.6億ドルを占めました。財務面では現金および現金同等物が約4.15億ドル、2025年の資本支出見込みは約1.5億ドルとしつつ、2024年末の負債比率(簿価ベースの負債対総資本)は57%に改善しており、ムーディーズとS&Pの投資適格格付けを維持することも目標にしています。配当は2024年7月に四半期1株あたり1.10ドルから1.15ドルへ4.5%引き上げられ、自己株買いについても累計4.0億ドルの枠から2024年末時点で約4.92億ドルが未使用となっているため、株主還元を継続的に実行する方針です。

同社は販売力強化とサービス拡充を成長の中核に据え、営業部隊への投資やデジタル化による顧客接点の拡大で差別化を図っています。具体的には新設したメキシコの商業用HVAC工場での生産性向上や、部材・部品の仕入れ・在庫配置を顧客の近くに移すことで納品率と付帯販売(部品・アクセサリ)の向上を狙っています。製品面では省エネ性能や信頼性、設置後のメンテナンスサービスを重視しており、特許や商標を多数保有してブランド力で競合と差別化を図っている点も重要です。

新市場開拓と事業拡大では、戦略的買収やジョイントベンチャーを活用しているのが特徴です。例えば2023年10月に買収したAESは軽商業向けのサービスやサステナビリティ領域を強化するもので、買収時の投資は約9490万ドルから調整後約9320万ドルとなり、Building Climate Solutionsに組み入れられています。また国際売上は2024年で全体の約6%と北米中心ですが、メキシコでの生産拠点拡充や複数の合弁事業(圧縮機や熱ポンプ関連)を通じて新たな需要を取り込む計画です。

技術革新については、同社は熱ポンプなど電化・高効率製品の成長に注力しており、研究開発投資と製品化の遂行を重視しています。多数の特許を積極的に取得している一方で、情報セキュリティにも力を入れており、NIST準拠の体制でサイバー対策チームを運用、年1回の侵害対応演習や従業員向けの定期的な訓練を実施しています。金属価格変動に対してはアルミ・銅を中心に現金流ヘッジを行っており、約1.059億ポンド相当の先物契約を2025〜2026年にかけて保有するなど、原材料リスク管理も技術戦略と合わせた重要な取り組みです。