L3HARRIS TECHNOLOGIES, INC.LHX

時価総額
$519.7億
PER
防衛・航空宇宙機器の最大手。ロケット推進、動力、兵装システムを展開。2023年7月にAJRDを$4,715Mで買収、2023年1月にTDLを$1,958Mで買収。EMEA・APAC・カナダを中心に世界100カ国超で展開。

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企業概況
105文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

L3HARRIS TECHNOLOGIES, INC.は防衛・宇宙分野向けに通信機器、センサー、ミサイル用推進装置や電源システムなどのハードとそれらを結ぶシステムを設計・製造し、開発から量産、運用支援まで一貫して行っています。航空機や衛星向けの検知・監視機器や指令管制用のソリューションが主力で、ソフトウェアや運用サービスも組み合わせた総合的な提供を行っています。

同社の主要顧客は米国政府(国防総省やNASA)や大手防衛一次請け企業、各国の軍隊で、国際売上は直近の会計年度で約21%(約44億ドル)に達しています。契約は長期の開発・生産案件が多く、受注残(バックログ)は約342億ドル($34.2 billion)あり、今後数年で順次収益として計上していく見込みです。

事業は大きく四つの分野で構成しており、宇宙・空中向けのセンサー・搭載機器、統合ミッション向けの指令・監視システム、軍用通信ネットワーク、そしてミサイル・宇宙用の推進・電源システムを扱っています。近年は人工知能やソフトウェアを組み合わせた統合ソリューションに注力し、外部パートナーと協業して新技術の開発を進めています。

経営方針

同社は成長を「パフォーマンス、成長、革新」で実現することを基本方針とし、受注残(バックログ)$34.2 billionを基に安定した収益化を図っています。会社はバックログの約45%を2025会計年度末まで、約75%を2026会計年度末までに収益化すると見込んでおり、直近の売上高は2024会計年度で$21.3 billion、純利益は$1.50 billion(希薄化後1株当たり利益 $7.87)でした。資本配分では設備投資を売上高の約2%にとどめつつ(2025見通し)、機動的な株主還元も継続しており、過去の承認で合計約$9.0 billionの自社株買い枠が存在し、2025年1月時点で未使用枠は約$3.38 billionです。一方で長期固定金利負債は約$11.5 billionと規模が大きく、流動性は短期的には確保できるとしつつも債務と米国政府予算等の不確実性を注視しています。

同社は研究開発と業務改革へ重点投資することで差別化を図っています。自社資金による研究開発投資は2024会計年度で約$515 million(売上比約2%)に達し、人工知能やソフトウェアとハードウェアを融合する能力を高めるため、Palantirなど外部パートナーとの戦略的提携も推進しています。加えて「LHX NeXt」と呼ぶ3年間の企業改革プログラムで業務プロセスと共通プラットフォームを刷新し、スケールを活かしたコスト効率と納期遵守力の向上を目指しています。こうした取り組みにより、宇宙・航空・地上・海洋・サイバーの複数領域を横断する「エンドツーエンド」提案での競争優位を強めています。

新市場開拓や事業拡大では、買収と国際展開を積極的に活用しています。代表例として、ミサイルや宇宙用推進分野のAerojet Rocketdyne(AJRD)を2023年に約$4.715 billionで取得し、戦略防衛・極超音速・宇宙推進の領域に参入しました。またViasatのTDL事業を約$1.958 billionで取得してリンク16などのネットワーキング能力を強化するなど、既存の4事業セグメント(SAS、IMS、CS、AR)を補完する投資を行っています。国際売上は2024会計年度で約$4.4 billion(全体の約21%)と地域分散も進めており、米国政府向けの受注を軸にプライムや分担企業としてのポジション確保を図っています。

技術革新への取り組みは、製品の迅速な市場投入とプラットフォーム非依存性を重視する姿勢が特徴です。同社は顧客出資の研究開発と自社出資の研究開発を組み合わせ、AI(人工知能)や先端通信、推進技術といったコア技術に継続的に投資しています。技術的にはハードとソフトを一体化した統合ソリューションを強化し、短期での実装を意識した「ラピッドソリューション」の提供を目指しており、これが入札競争や長期プログラムでの差別化要因になると同社は位置づけています。