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Lucid Group, Inc.LCID
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事業内容
Lucid Group, Inc.は高級電気自動車の設計・製造を主力とする企業で、代表的な車種にLucid AirとLucid Gravityがあります。同社は自社で電動パワートレインやバッテリーパックを組み立て、AMP‑1やサウジに開設したAMP‑2などの自社工場を使い、航空機由来の一体構造など独自の車体設計を取り入れて高品質な生産を目指しています。ソフトウェアとハードウェアを連携させ、無線での機能改善を続けられる車両開発を重視しています。
同社は消費者への直接販売を軸にしており、直営の販売拠点とオンライン販売、さらに自社の金融サービスを通じて車両を販売しています。アフターサービスは直営のサービスセンターや移動型整備で支え、収益の大半は新車販売と付随するサービスから得ています。加えて、サウジ政府との大口購入枠や主要投資家からの資金調達が成長資金の重要な柱となっています。
事業は大きく車両開発、垂直統合した製造、販売・アフターサービスの三本柱で展開しています。製品ラインは高級セダンのAirとSUVのGravityに加え、量販領域を狙う中型車プラットフォームを開発中で、これにより販売拡大と生産効率の向上を図ろうとしています。さらに遠隔診断や無線でのソフト更新、認定修理網や充電パートナーとの連携を通じて顧客体験の一貫性を高める取り組みを進めています。
経営方針
同社は高級電気自動車(EV)のメーカーとしての地位確立と、車両やパワートレインなどの技術を他社にも提供する「自動車会社+技術提供者」という二本柱での成長を目指しています。具体的には、北米・欧州・中東での小売・サービス拠点を拡大することで販売基盤を強化しつつ、量産向けの新プラットフォーム(Midsize)の立ち上げを通じて高ボリューム市場にも参入し、規模の経済を実現する計画です。資本面では近年複数回の公募・私募や優先株発行により大規模な資金調達を行っており、例えば2024年10月の公募で約7億1,840万ドル、同時期の関連当事者からの私募で約10億2,570万ドルを調達した実績があり、これらを生産設備と市場開拓に充てています。
同社の差別化は垂直統合と製品性能にあります。車体は航空機に着想を得たリベット接合・接着のモノコック構造を採用してスポット溶接を置き換え、構造効率と品質管理を高めています。電動パワートレインやバッテリーパックはAMP-1で自社組み立てしており、「Wunderbox」などの独自ユニットを含めた内製化で性能と供給安定性を高めています。販売面では従来型の販売店に依存せず自社で直販・直営サービスを行い、42の北米スタジオ、欧州11、そして中東4の拠点を基に顧客体験を管理・拡張しています。性能面では、航続効率や充電速度で業界上位を主張するモデル群(例えばSapphireの1,234馬力、0→60mphを約1.89秒など)を投入しており、高付加価値の差別化を図っています。
事業拡大では海外生産と大口販売契約を軸にしています。既にAMP-2(サウジアラビア)はSKD方式で年5,000台の組立能力で稼働を始め、現在は完全組立(CBU)生産へ拡張して追加で年15万台の設備導入を進めています。さらに同社はサウジ政府関連と最大10万台(最低5万台)を想定した車両購入契約を結んでおり、これにより中東市場での量的確保を図るとともに生産スケールを確保する狙いです。併せて2026年末のMidsizeプラットフォームの量産開始を掲げ、高ボリュームセグメントでの採算改善を目指しています。
技術革新への取り組みはハード・ソフト両面で進められています。同社は「ソフトウェア定義車両」戦略を掲げ、車両を継続的に改良するための無線更新(OTA)を活用して機能追加や性能チューニングを実施しています。バッテリーやパワートレインの研究開発は社内で行い、電池セル供給契約や重要素材の確保にも注力しているほか、他メーカー向けの技術提供やライセンスでの収益化も模索しています。製造現場では安全・環境管理にも配慮しており、AMP‑1とAMP‑2で国際規格の認証(ISO 45001、ISO 14001)を取得するなど、組織的な技術・品質基盤の整備を進めています。