Liberty Global Ltd.LBTYA

時価総額
$37.2億
PER
ブロードバンド・モバイル・映像などの世界最大手。光ファイバーやHFC、5G SAを基盤としたインターネット・動画・固定電話・モバイルサービスを展開。2024年10月にFormula Eを買収。欧州を中心に2024年12月31日時点で約8,000万接続を提供。

事業内容

Liberty Global Ltd.は欧州を中心に、光ファイバーや次世代モバイル網を使って高速インターネット、動画配信、固定電話と携帯の通信サービスを提供している通信事業者です。家庭向けのエンターテインメントと接続サービスを一体化したバンドル商品で顧客に利便性を訴求しています。

同社の主要な顧客は一般家庭と法人で、収益の柱は月額の加入料や機器販売、企業向けの専用回線やクラウド・通信サービスの契約です。加えて他の通信事業者向けの卸売提供や、メディアやデジタルインフラへの投資からの収益も得ています。

同社は事業を大きく三つの柱で展開しています。Liberty Telecomは固定と携帯を組み合わせた接続・映像サービスを地域ブランドで運営し、顧客向けの多様な料金プランとコンテンツを揃えています。Liberty Growthはメディアやスポーツ、デジタルインフラへの投資を通じて資本収益を追求し、Liberty Servicesは技術やファイナンスの共通プラットフォームをグループ内外に提供している。

経営方針

同社は三つの柱(Liberty Telecom、Liberty Growth、Liberty Services)を通じて有機的な顧客・収益成長を目指しています。株主還元では自己株買いを重要な価値創造手段と位置づけ、2024年は発行済株式の最大10%を目標にプログラムを設定し、Class C株38,260,604株を平均購入価格17.73ドル、総額約6億7,850万ドルで買い戻す目標を12月30日に達成しました。配当は現在支払う予定がなく、取締役会は2025年も同様に発行済株式の最大10%までの買い戻しを承認しており、2024年末時点の株数で約3,490万株、当時の株価で概算約4億5,000万ドルの枠を想定しています。同社は負債水準を適切に管理しつつ、買い戻しや成長投資で株主価値を高めることを目指しています。

同社はネットワークとコンテンツを中心に重点投資を行い、差別化を図っています。固定回線は「光ファイバーを家庭まで引く方式(FTTH)」や既存の同軸ケーブルと光を組み合わせた回線(HFC)を強化し、モバイルは5Gのスタンドアロン技術(5G SA)へ投資して速度と安定性を高めています。成長投資部門(Liberty Growth)は約70社に対し評価額で約31億ドルの投資を保有しており、ITVやPlume、EdgeConneX、AtlasEdge、Formula Eなどを通じてコンテンツやクラウド・エッジ分野の差別化を進めています。また、製品プラットフォームの提供では同社がプロダクトロードマップと知的財産を維持する契約形態を選び、技術とサービスの独自性を確保しています。

同社は新市場開拓とネットワーク拡大にも積極的です。持続的な展開計画として、ベルギーではWyreを通じて2030年までにフットプリントの約70%をFTTH化、2038年までに約78%のカバーを目指しています。アイルランドではSIROやNational Broadband Irelandとの提携で自社ネットワークのない地域へサービスを拡大し、さらにTelenetとOrange Belgiumの間で15年の商用卸売契約を結ぶなど、卸売アクセスや共同展開で到達世帯数を増やす戦略をとっています。なお2024年末時点で同社の継続事業がパスした世帯は約5,808,100件、固定回線顧客は約2,530,900件、モバイル加入者は約3,006,800名であり、これらを基盤に市場浸透を図っています。ただし買収やJVによる拡大には統合コストやリスクが伴うため、段階的な投資回収を見据えた運営を行っています。

同社は技術革新を通じた顧客体験の向上にも注力しています。エンターテインメント面ではHorizon 5と呼ばれるプラットフォームで主要な配信アプリを統合し、クラウド録画や再生機能を強化して利便性を高めています。運用面ではサイバーセキュリティ対策を整備し、最高技術責任者の下で最高セキュリティ責任者が専任チームを率い、脆弱性診断や模擬侵入試験、インシデント対応演習、従業員向け訓練を定期的に実施しています。加えて、EdgeConneXやAtlasEdgeへの投資や自社のサービスプラットフォームを通じてクラウドやエッジ基盤の拡充を図り、低遅延で高信頼のサービス提供を目指しています。