Lazard, Inc.LAZ

時価総額
$8.8億
PER
金融アドバイザリーと資産運用の大手。グローバルM&A、リストラクチャリング、アクティブ運用商品やテーマ戦略を展開。2009年の米国プライベートエクイティ事業買収と2024年12月31日時点の従業員数3,263人の公表。米国・欧州・アジア中心に展開。

事業内容

Lazard, Inc.は世界的に展開する金融サービス会社で、主に財務アドバイザリーと資産運用の二本柱で事業を展開しています。同社は企業の合併・買収(M&A)や事業再編、債務再構築、資本調達などに対する戦略的な助言やフェアネスオピニオンを行い、政府や公的機関へのソブリン助言も手掛けています。

同社の顧客は大企業や金融スポンサー(プライベート・エクイティ)、公的年金や主権財基金、保険会社、財団などの機関投資家や政府機関が中心です。収益は主に取引完了時に得られるアドバイザリーフィーと、運用資産残高に基づく運用管理手数料、さらに運用成果に応じた成功報酬やトランザクション関連の手数料で構成されています。

同社は事業を金融アドバイザリーと資産運用の二つのセグメントで組織しており、アドバイザリーではM&A、資本構成の最適化、株主対応やリストラクチャリング、債務管理といったサービスを提供しています。資産運用では国内外の株式や債券、現金に加え、私募株式・不動産・インフラなどの代替投資を含む多様な運用戦略を持ち、機関向けの専用口座や共同投資、ファンドを通じて分散されたソリューションを提供しています。

経営方針

同社は収益成長と株主還元の継続を最優先の目標としています。2024年にはファイナンシャル・アドバイザリーの純収益が約17.6億ドル、資産運用の収益(運用報酬+インセンティブ料合計)が約11.9億ドルに達しており、これらを基盤に中長期での売上・利益の拡大を目指しています。業績は合併・買収や資本市場の活発度、運用資産残高(AUM)に左右されるため、同社は収益基盤の安定化と複数の収益源を育てることを明確な成長戦略としています。

重点投資分野としては、従来のM&A・リストラクチャリングに加え、プライベートキャピタルとの連携強化や資本市場アドバイザリー、主権・地政学アドバイスなどの高付加価値分野に注力しています。資産運用では、サステナブル戦略や定量(クオンツ)戦略、テーマ別戦略といった専門商品に投資し、アクティブ運用や富裕層向けのウェルスマネジメントで差別化を図っています。顧客構成はAUMの約82%が機関投資家で18%が個人系(主にファミリーオフィスや富裕層)、上位10顧客でAUMの32%を占めるなど、顧客基盤の質にも配慮しています。

新規市場開拓と事業拡大では、アクティブ上場投信(ETF)やウェルス領域を新たな成長軸と位置づけ、商品ラインの拡充と販売チャネルの最適化を進めています。地域面では米国・欧州の強みを基盤に、機会のあるローカル市場へ選択的に拠点を追加し、プライベートキャピタル取引やリストラクチャリング案件の獲得を狙います。加えて、買収や人材採用(上級プロフェッショナルの積極的な登用によりマネージングディレクター数の増加を見込む)といった非オーガニックな成長手段も検討しています。なお、資産運用の一部では自社資本でシード投資を行っており、例えば種まき的投資の残高は約1.95億ドルと開発投資にも取り組んでいます。

技術革新への取り組みでは、ITインフラとデータサイエンス、生成系AIを含む分析能力への投資を重視しています。同社は調査・分析や取引執行、顧客提案の高度化にAIとデータを活用することで、より迅速で精度の高い助言を提供しようとしています。具体的には投資リサーチの質向上、顧客向けの運用ソリューションの自動化、運用プロセスの効率化を進めるとともに、これらの技術基盤を用いて新商品(例:アクティブETF)や分野横断のサービス創出を加速させる方針です。