- 米国企業
- Kezar Life Sciences, Inc.
Kezar Life Sciences, Inc.KZR
事業内容
Kezar Life Sciencesは、自己免疫疾患や炎症性疾患に対する新しい治療薬を研究開発する臨床段階のバイオ医薬品企業です。同社は免疫の働きを調節する新規候補薬を中心にパイプラインを構築し、臨床試験を通じて安全性と有効性の検証を進めています。
主要な収益源は自社による製品販売ではなく、協業契約による前払い金、開発や商業化のマイルストーン、将来のロイヤルティなどのライセンス収入や共同研究費です。同社は公的資金や株式発行など資本市場からの資金調達にも依存しており、短期的な売上は限定的です。
事業は主に研究開発と外部パートナーとのライセンス・共同開発に分かれています。具体的には選択的イムノプロテアソーム阻害剤などの臨床候補と、地域別にライセンスした候補(例:一部国での権利をライセンシーに供与)を有し、臨床試験や製造は外部の治験受託機関や製造委託先と連携して進めています。
経営方針
同社は臨床段階の資産を優先的に育て、事業の成長と価値創出を目指しています。2024年12月31日時点で現金・現金同等物・有価証券は約1億3220万ドルあり、同社はこの資金が少なくとも報告時点から12か月程度の事業資金を賄うと見込んでいます。一方で2024年の純損失は約8,373万ドルであり、収益化に至るまで追加資金調達が必要になる可能性が高いため、同社は提携や公募、借入れなど複数の資金調達手段を並行して検討・活用しています(例:最大2億ドルの米国での随時売出枠のうち約6830万ドルが未使用、過去の貸付枠は最大5,000万ドルで初回1,000万ドルを行使)。
同社は研究開発と臨床開発に重点投資し、差別化は選択的な臨床資産の深化と戦略的提携で図っています。従業員55名のうち38名が研究開発に従事し、医師や博士号保有者が11名在籍しているなど研究体制を整備しており、2023年10月に実施した組織再編で臨床重視へとリソース配分を見直したことが具体的施策です。加えて、製剤や投与系の開発、医薬品製造を外部のCRO/CMOと協業することでコスト効率を高めつつ、知的財産や臨床データでの優位性確保を図っています。
同社は新市場開拓と事業拡大にあたり、地域ごとの独占ライセンスや共同開発を積極的に活用しています。例えば、主要パイプラインであるzetomipzomibに関しては、Everest Medicinesとの協業で中国本土・韓国・一部東南アジア地域の独占権を付与し、これにより同社は自社での直接展開が難しい市場での早期実行力を確保しています。事業拡大の資金面では、提携による前払いやマイルストーン収入、株式の随時発行、あるいは戦略的買収を含めた選択肢を維持しており、また敵対的な買収から企業価値を守るために2024年10月に期間限定の権利計画を導入するなどガバナンス面でも備えています。
技術革新については、同社は次世代の投与方法や製剤技術の開発に注力し、臨床試験データを基に製品化までの橋渡しを進めています。研究開発費は発生主義で計上され、外部パートナーと連携して前臨床・臨床・製造の各段階で外注を活用することで開発速度とコスト管理の両立を図っており、同時に特許出願やデータ保全による競争防衛を重視しています。さらに情報セキュリティや規制順守の体制強化にも取り組んでおり、開発資産と臨床データの保護を通じて技術的優位性を長期的に維持することを目指しています。