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- Kennedy-Wilson Holdings, Inc.
Kennedy-Wilson Holdings, Inc.KW
事業内容
Kennedy-Wilson Holdings, Inc.は不動産への直接投資と投資運用を手掛ける企業で、世界で約280億ドルの運用資産を管理しています。同社は特に賃貸住宅(市場向け・低所得向け・学生向け)や産業用施設(物流)への投資を中心に行い、同時に不動産ローンの組成・管理・サービスも行っています。
同社の主要な顧客は機関投資家、金融機関、開発スポンサーやファンド出資者で、こうした第三者資本を通じて取引を実行しています。収益は賃料や融資利息のほか、資産運用手数料、共同投資の持分利益、そして物件売却益や仲介・オークション等のサービス収入といった複数の柱で構成されています。
事業は大きく賃貸住宅、リアルエステートクレジット(主に担保付きローン)、および工業・オフィス・小売・ホテル等のその他不動産に分かれています。246名の社員が米国・英国・アイルランドの14拠点で取得・リーシング・運営・再開発まで垂直統合で実行し、投資管理プラットフォームでは少数出資と資産管理による手数料と持分収益を得ることでリターンを追求しています。
経営方針
同社は長期的に強いリスク調整後リターンを創出することを成長戦略の中核に据えています。直近では運用資産残高(AUM)を約280億ドルまで拡大しており、投資運用プラットフォームの拡大により2024年のアセットマネジメント手数料は前年比60%増の9,890万ドルに達しました。資本効率の向上を狙い、保有資産の循環(キャピタルリサイクリング)や非中核資産の売却を積極的に行うと同時に、株主還元策として最大5億ドルまでの自社株買い枠を設定(2024年末時点で残枠約1.097億ドル)しています。
投資の重点分野は賃貸住宅(マーケットレート、アフォーダブル、学生向け)と不動産ローン、加えて産業用不動産です。同社は賃貸住宅セクターに大きく傾斜しており、保有・融資を含む62,270戸分のマルチファミリーユニットを通じて収益基盤を強化しています。差別化要因は垂直統合された運用プラットフォームと豊富な人材・関係ネットワークで、リージョンごとの現地知見を生かしてオフマーケットの案件や複雑な資本構成の組成を迅速に行うことにより、取得後の賃料改善や再開発で価値を引き上げる「ハンズオン」の運用を重視しています。
新市場や事業拡大については、米国・英国・アイルランドの高成長市場でのプレゼンスを基盤に、投資運用とコインベストの比重を高める方針です。2024年には総額約7.976億ドルの取得や貸出投資を実行し、一方で約12億ドルの物件売却や10億ドルのローン回収を行うなど、積極的な入替えでポートフォリオを最適化しました。従業員インセンティブやキャリー配分の枠を拡大(従来の35%から50%へ)することで運用チームとの利害一致を強め、単純な資産保有から運用・共同出資による収益源の拡大を図っています。
技術面では、与信や資産評価、報酬算定にデータ・モデルを取り入れており、貸出ポートフォリオの信用損失見積もりや報酬の評価に高度な確率モデルを活用しています。また、オークションや販売・マーケティング事業、ローンサービシングなどの業務で効率化システムを整備し、物件管理やリーシング、工事管理といった現場のオペレーション改善を通じて収益性を高める投資を継続しています。これらの取り組みにより、同社は投資機会の発掘から取得後の運用、資本回収まで一貫した価値創造を目指しています。