- 米国企業
- KILROY REALTY CORP
KILROY REALTY CORPKRC
事業内容
KILROY REALTY CORPは、主に米国西海岸を中心に高品質なオフィスおよびライフサイエンス用不動産の取得・開発・再開発・賃貸・運営を行う不動産投資信託(REIT)です。同社は都市型のオフィスキャンパスや研究施設を中心に所有し、開発中の大型プロジェクトも手がけています。
主要な顧客はテクノロジー、エンターテインメント、デジタルメディア、ライフサイエンス系の企業で、特にテック系テナントが賃料収入の大きな割合を占めています。収益の中心は賃料収入とテナントからの費用回収で、上位テナント数社でポートフォリオ収入の相当部分を占める構造です。
事業面では報告可能なセグメントは一つで、保有する安定稼働資産と開発・再開発案件の二本柱で運営しています。加えて環境効率を重視し、LEED認証を目指す開発やグリーンリースの導入、カーボンニュートラル運営などサステナビリティ施策を通じて資産価値とテナントの利便性向上に努めています。
経営方針
同社は、資産運用から開発・再開発まで一貫して収益の拡大を図ることで、長期的にNet Operating Income(純営業収益)とFFO(資金ベースの収益)の持続的成長を目指しています。具体的には、自社保有の開発パイプラインとして約64グロスエーカー、合計で6.0百万平方フィート超の開発可能面積を保有しており、進行中の案件として約100,000平方フィートのテナント改善段階の再開発を2件(投資見込み約25.0百万ドルと55.0百万ドル)と、約875,000平方フィートの大型開発を建設中です。また、資金面では借入枠1.1億ドル(回転信用枠)を維持しつつ、権利行使可能なシェルフ登録やATM(上場随時売出)で最大5.0億ドルの株式調達余地を確保しており、同社はバランスシートの強化と機動的な資金調達を両立させることを目指しています。
同社は、主に西海岸とオースティン(テキサス)を重点市場とし、オフィス、ライフサイエンス、複合用途の開発に注力することで差別化を図っています。立地は供給抑制かつアメニティが豊富なサブマーケットを選定し、設計や環境面で高付加価値を提供することを重視しています。テナント基盤も強みで、上位20社が年間賃料の約53.6%を占め、技術系企業がポートフォリオ基礎賃料の約54%を占めるため、主要テナントとの長期関係を通じた安定収益確保を目指しています。加えて、物件競争力を高めるために建物管理システムやセキュリティ、テナント向け体験向上ツールへの投資を進めています。
事業拡大の手法としては、自己資金(営業キャッシュフロー)と選別した資産売却(キャピタルリサイクル)を組み合わせて新規取得や開発費用を賄う方針です。非中核資産や未開発地の売却、戦略的ジョイントベンチャー、必要に応じた債務・資本市場での資金調達を通じてポートフォリオ入替えを行う計画で、1031交換など税務上の繰延手法も検討対象にしています。なお自己株式買付については取締役会が上限5.0億ドルの買戻し枠を承認していますが、2024年は買戻しを実行していない点も明示しています。
同社は技術革新とサステナビリティを経営の中核に据えており、運用面ではエネルギー使用量の監視や定期的なエネルギー監査、機械設備や照明の更新を通じてコスト削減と環境負荷低減を図っています。開発物件はLEEDゴールド以上を目指すほか、2020年以降カーボンニュートラル運用を達成しており、GRESBの5スター評価やEPAの表彰など外部評価も高いです。人材面でも同社は人材育成と多様性に投資しており、オペレーティングパートナーで229名を雇用、従業員の56%が女性、46%が人種的・民族的多様性を持つなど、優秀な人材確保を通じた運用力強化を目指しています。