Koppers Holdings Inc.KOP

時価総額
$5.5億
PER
木材防腐剤・圧力注入木材と電柱の製造供給の大手。銅系防腐剤(年間約3700万ポンドのスクラップ銅原料調達)、耐火剤、海洋杭や農業用小径材の加工を展開。2024年4月に約1億ドルで同業資産を買収。北米・豪州を軸に欧州・南米までのグローバル展開。

事業内容

Koppers Holdings Inc.は木材の耐久性を高める保存剤や防腐処理、電柱の製造・処理、さらにアルミ精錬向けの炭素材料などを手掛ける工業系企業です。同社は木材保存剤やタール由来の製品を中心に、インフラや建設用途向けの長期供給を行っています。

同社の主要顧客は電力会社や大手木材処理業者、鉄道や海運関連などの産業顧客が中心です。売上は大口顧客への安定供給とリピート受注が基盤で、上位10社で総売上の約4割を占めるなど一部顧客への依存度が高い収益構造です。

事業は大きく木材保存化学品、電柱・杭などのインフラ製品、炭素材料・特殊化学品の三つのセグメントに分かれます。木材保存化学品では原料の一部を自社で加工して供給の安定を図り、電柱事業では処理工場と流通網を通じて北米や豪州で強みを持ち、最近の買収で地域ネットワークをさらに拡大しています。

経営方針

同社は長期的に利益率の向上と持続的成長を目指しています。具体的には、組織の簡素化とコスト構造の見直しで「十年にわたる収益成長を延長」し、より高い利益率を実現することを掲げています。市場環境については、鉄道用枕木の需要は2025年に約1,950万本と見込まれ、ユーティリティ柱の需要は年後半に拡大すると予想しており、これらの安定・成長市場を取り込むことで売上と利益の拡大を狙っています。

重点投資は主にユーティリティ柱事業(RUPS)、防腐剤などの性能化学(PC)、および炭素・タール関連事業(CMC)に置かれています。差別化の核は原材料から加工までの垂直統合で、たとえば銅系防腐剤向けに年間約3,700万ポンドのスクラップ銅を調達・加工している点が挙げられます。こうした自前の供給網と、顧客向けの技術・規制対応支援により競合優位を確保し、RUPSでは市場シェア拡大、PCでは住宅向け顧客獲得、CMCでは高付加価値炭素製品の展開で利益率の改善を目指しています。

新市場開拓と事業拡大は、選択的な買収と既存網の最適化を組み合わせて進めています。2024年4月にブラウン・ウッド社の資産を約1億ドルで取得し(買収対価約1.02億ドル、のれん約2,530万ドル、顧客関係無形資産約3,220万ドル)、米南部の事業基盤を強化してテキサスや中西部など新たな地理市場に拡大する足掛かりを得ました。一方で採算性の低い設備は集約・閉鎖する方針で、シカゴ近郊の施設で生産中止を決めるなど資産配分を機動的に見直しています。

技術革新と人材育成にも投資を行っており、製品面では高機能炭素製品やタール・ピッチのグローバル戦略を推進し、新製品の市場投入と既存製品の高付加価値化を図っています。人材面では社内教育プログラム「Koppers College」やリーダー育成フォーラム、ウェブベースの入社教育を通じて現場力を高め、品質・安全・生産性の向上を目指しています。これらの取り組みで技術力とオペレーションの両輪を強化し、収益性の向上につなげようとしています。