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KIMCO REALTY CORPKIM
事業内容
KIMCO REALTY CORPは、米国で最大級のオープンエア型ショッピングセンターの所有・運営を主力とする不動産会社で、主に食品スーパーを核とした郊外型商業施設を保有・管理しています。同社は物件の賃貸・管理に加えて取得や再開発を通じて資産の価値向上を図り、安定した収益基盤をつくっています。
同社の主要顧客は全国チェーンや地域小売業、食品や生活必需サービスを提供するテナントで、収益は主に固定家賃、共用費の回収、売上連動型の追加収入など賃貸関連で構成されています。同社はテナント構成や地理的分散でリスクを軽減し、稼働率や賃料の改善でキャッシュフローを安定させています。
同社の事業ラインには、既存センターの運営・テナントリーシング、物件の取得・売却、再開発や混合用途プロジェクトによる付加価値創出が含まれます。加えて、機会投資を行う「Plus」的な事業や資本市場・借入を活用した資金調達で成長と配当維持を両立させる戦略を進めています。
経営方針
同社は、オープンエア型の食料品店を核としたショッピングセンターを中核に、混合用途(ミックスユース)資産の拡大を目指しています。2024年のFFOは11億ドル(希薄化後1株当たり1.65ドル)に達し、同一物件ベースの営業純収益(Same property NOI)は15.3億ドルで前年から3.5%増加、ポートフォリオの稼働率は96.4%と高水準を維持しています。バランスシートの強化も重点で、格付けは主要3社でA-/BBB+/Baa1と投資適格を確保し、加重平均債務満期は8.0年、手元流動性は約27億ドル(うち回転型信用枠2.0億ドルを含む)としています。こうした財務基盤を背景に、安定的な配当と慎重な資本配分を両立させることを同社の成長戦略の柱としています。
同社は既存資産の価値向上と差別化に重点投資しています。都市圏近郊の「ライブ/ワーク/プレイ」環境を重視し、品質の高い「Signature Series」プロジェクトで再開発や密度向上による価値創造を進めています。地理的にはサンベルトや沿岸主要市場に集中しており、ポートフォリオの約91%がこれらのエリアに所在することで人口・需要の追い風を取り込みます。テナント構成は生活必需を中心に分散されており、単一最大テナントの比率は3.7%、上位5社合計でも10.7%未満とリスク分散が図られています。また、資本効率の観点からは質の低い資産を売却する「資本リサイクル」や、付加価値の高い再開発に対して2024年に約3.24億ドルを投じるなど、重点的な改修・テナント対応を行っています。
新市場開拓と事業拡大では、M&Aとエンタイトルメント(用途変更・権利化)を組み合わせた成長を志向しています。2024年にRPTとの合併で56物件を取得し、単独での大型取得としてはウォーターフォード・レイクスを3.22億ドルで取得しました。既存地の密度化では、住宅エンタイトルメントを12,379戸分取得し、そのうち3,357戸は2024年末時点で建設済みとすることで、混合用途やマルチファミリー住宅の導入を進めています。2025年は取得向け支出を約2.25億〜2.75億ドル、再開発・改修費も同額レンジを見込むなど、慎重な資本配分で外部取得と内部成長の両面を追求する計画です。
技術革新に関しては、運営効率とリスク管理の両面でデータ活用とセキュリティ強化に取り組んでいます。本社でのデータ処理体制を中心に、リース管理やテナント対応、ラストマイルの物流ソリューションにデータを活用して収益機会を探るとともに、サイバー攻撃やAI関連のリスクを認識し対策・開示を強化しています。加えて、金利リスク管理では約8.6億ドルの金利スワップを導入してヘッジを行い、サステナビリティ面でも温室効果ガス削減目標の開示や気候リスクの定量化を進めるなど、テクノロジーとガバナンスを組み合わせて長期的な価値創出を図っています。