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Kodiak Gas Services, Inc.KGS
事業内容
Kodiak Gas Services, Inc.は米国で大馬力の契約型圧縮インフラの提供と運用を主力とする企業です。同社は天然ガスや原油の生産・集積・輸送に不可欠な圧縮ユニットを長期の固定収入契約で設置・運用し、高い稼働率と信頼性を重視しています。
主要顧客はパーミアン盆地などで活動する上流・中流の大手エネルギー企業で、投資適格の大手が中心です。同社は長期契約と高い設備稼働率により安定的な繰り返し収入を確保しており、上位4社で売上の約32%を占めています。
事業は契約サービス(Contract Services)とその他サービス(Other Services)の二つのセグメントに分かれています。契約サービスでは自社・顧客所有の圧縮設備やガス処理・冷却設備を運用し、その他サービスではステーション建設や顧客所有機の保守・オーバーホール、輸送やクレーン作業など時間・材料ベースの支援業務を行い、両者を組み合わせて収益を補完しています。
同社は特に1台あたり1,000馬力を超える大馬力機に注力しており、全保有馬力の約78%がこの大馬力区分です。機材の標準化や予防保守で稼働率を高める一方、低排出機や電動駆動の導入などで顧客の排出削減目標にも対応しています。
経営方針
同社は安定したキャッシュ創出を基盤に、事業規模と株主還元の両立を目指しています。2024年の成長目的資本支出は2億8,600万ドル、維持目的支出は6,620万ドルと前年から大幅に増加し(2023年はそれぞれ1億8,450万ドル、3,700万ドル)、これらを主に自社の裁量的キャッシュフローで賄う計画です。株主還元については四半期配当0.41ドル(約3,600万ドル)を支払い、取締役会は「当面は同等の現金配当を継続する見込み」としています。加えて、上限5,000万ドルの自社株買い枠を設定しており、既に43万4,783株を1株34.50ドルで買い戻すなど、資本配分の柔軟性を確保しています。一方で長期負債は約26億ドルと規模があるため、必要に応じてABL(資産担保回転貸付)からの借入や成長投資の見直しでバランスをとる方針です(2024年末時点でABLの利用可能額は約3.225億ドル)。
同社は大馬力圧縮機に重点投資し、市場での差別化を図っています。全体で約440万馬力の保有量のうち約78%が単一ユニットで1,000馬力超の「大馬力」であり、低圧な非在来型油ガス田(例:パーミアンやイーグルフォード)での需要増を受けた戦略です。契約は主に固定収入型の長期契約が中心で、機器の稼働率(稼働可能時間=「機械的可用性」)を重視する運用と、標準化したフリートと予防・予測保守により安定した収益を目指しています。加えて、圧縮機以外のサービス(建設、オーバーホール等)をクロスセルすることで、追加の設備投資なしに現金収入を補強する施策も取っています。
同社は成長のために既存事業の選別と大型買収の統合を進めています。2024年4月にCSI Compresscoを買収しており、取得対価の暫定額は約3.423億ドル、のれん約1.099億ドルを計上して統合を進行中です。買収後は保有ユニットの改修・増勢や圧縮装備の調達に投資を拡大し、2024年は新たな馬力獲得やCSI由来のユニット改装のための支出が増えました。一方で、カナダやアルゼンチンの非中核資産を売却するなど、米国内の主要生産地(パーミアンやイーグルフォード等)に注力する方向へ事業ポートフォリオを整理しています。将来的な成長資金は裁量的キャッシュフローと必要に応じたABLからの追加借入で賄う計画で、買収や設備投資の機会は引き続き検討するとしています。
同社は技術面での革新にも注力しており、低排出型フリートと運用効率の両立を目指しています。排出規制対応としてNOx排出0.5g以下の低排出ユニットを保有・導入し、電動モーター駆動の圧縮機を顧客の長期契約の下で順次展開しています。さらに、機器の稼働監視や予兆診断を行う先進的な監視システムと体系化された保守プログラムを導入し、ダウンタイム低減と寿命延長を図っています。安全や人材育成への投資も継続しており、現場の技術力と稼働信頼性で顧客の運用ニーズと環境目標の両立を支援することを目指しています。