Jackson Financial Inc.JXN

時価総額
$67億
PER
年金・生命保険事業の米国大手。投資連動型変額年金やRILA、GMWB等の年金商品を展開。2012年以降で150億ドル超の保険準備金を買収、2024年にSQMの金融部門最高顧客サービス賞を13年連続受賞。米国・欧州中心に展開。

事業内容

Jackson Financial Inc.は米国を拠点に個人向けの年金商品と生命保険、並びにそれらを支える資産運用サービスを中核に展開する金融持株会社です。同社は投資専用の変額年金や主力の変額年金商品、近年の新商品群を通じて退職後の資産形成向け商品を提供しています。

同社の主要な顧客は退職資金を運用する個人投資家と、証券会社や金融アドバイザーなどの販売チャネルです。収益は保険料や投資関連の手数料、保証に対する手数料、そして投資運用からの利得が中心となり、保証手数料を契約上の基準額に基づいて算定することで収益の安定化を図っています。

事業は大きく年金(変額・固定・指標連動)、生命保険、資産運用・投信の各部門に分かれています。リスク管理面では市場変動に備えた自社のヘッジ運用や外部再保険を活用し、商品設計や引受方針で持続可能な収益性を重視しています。同社は内製と外部の管理プラットフォームを組み合わせ、効率的な運営と顧客サービス向上につなげています。

経営方針

同社は持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。小売年金(Retail Annuities)を中心に2024年の総販売額は約198億ドル($19,849百万)に達し、小売年金単独では約178億ドル($17,849百万)と前年から大きく伸長しました。経営成績の改善も進んでおり、調整後の税引前営業利益は前年から改善して2024年は約マイナス9百万ドルとなるなど収益の安定化に向けた歩みが見られます。資本配分では自己株式買い戻しを積極的に活用しており、取締役会は2024年8月に買戻し枠を増額し、2025年2月18日時点で残余の買戻し枠は約5.68億ドルとなっています。

同社は資産運用と商品設計に重点投資して他社との差別化を図っています。投資ポートフォリオは主に格付けの高い債券やローン、モーゲージ担保証券などで構成し、商業用住宅ローンは約88.3億ドル、住宅ローンは約10.9億ドルを保有するなど固定収入資産に重きを置いています。商品面では、保証料を「アカウント価値」ではなく「ベネフィットベース(給付基準額)」に基づいて算出する設計を採用し、ヘッジの安定化を図っています。またリスクの高い年金保証(例:GMIB)は提供を縮小し、第三者再保険を活用して長寿リスクなどを外部に移転することで資本効率を高めています。

新市場開拓と事業拡大は選択的かつ機会主導で進められています。同社はRILA(上場インデックス連動型年金)など成長分野への取り組みで成果を出しており、RILAの販売は2024年に約56.7億ドル($5,674百万)と急拡大しました。機関投資家向け商品も機会に応じて拡大しており、2024年の機関商品販売は約20億ドル($2,000百万)に達しています。さらに、過去2012年以降で150億ドル超の生命保険・年金リザーブを買収してきた実績があり、今後もリスク調整後の利回りが魅力的な買収案件や再保険取引を機動的に検討する方針です。加えて、社内と外部の管理プラットフォーム双方を活用し、買収後の組み替えや運用移行を効率化する具体策を講じています。

技術革新とリスク管理の高度化にも積極的に投資しています。同社はコアとなる「ダイナミック・ヘッジ」と追加の「マクロ・ヘッジ」により市場変動と金利変動に対応する一方、2024年は精緻化したデータ処理や前提見直し(年次のアクチュアリー前提更新)を行い、変動保証に関する準備金(MRB)の計算精度を高めました(同年のMRB関連の前提更新影響は数億ドル規模の変動として開示)。また、顧客サービスと運用効率を支える基盤としてITと外部委託先の監督を強化しており、顧客対応では13年連続で最高顧客サービス賞を受賞するなどサービス品質の維持・向上に努めています。