JUPITER NEUROSCIENCES, INC.JUNS

時価総額
$3806.9万
PER
バイオ医薬品の研究開発の新興企業。JOTROLを含む中枢神経系・ミトコンドリア疾患向け治療候補を展開。2024年のIPOで資金調達、2024年6月に東南アジアで株式によるサービス契約、同年12月に戦略サービス契約で230万ドル支払い。米国と東南アジアで展開。

事業内容

JUPITER NEUROSCIENCES, INC.は、神経疾患やミトコンドリア関連の希少疾患向けの治療薬を研究・開発しているバイオ医薬企業です。主力候補はJOTROL(JNS107)で、臨床試験を通じて有効性と安全性の確認を進め、将来的な承認取得と商業化を目指しています。

同社は現時点で承認済み製品を持たないため、製品売上による収入はなく、当面は見込めないとしています。資金調達は株式公開や増資が中心で、将来はライセンス供与や提携先からの前払い金・マイルストーン・ロイヤリティでの収益化を目指しており、アジアでの事業開発ではサービス契約を株式で支払う手法も使っています。

事業は主にパイプラインの臨床開発とそれを支える製造管理、規制対応、臨床試験の運営に分かれており、これらは外部の臨床試験受託機関や製造委託先と協働して進めています。アジア市場では現地企業と戦略的なサービス契約を結び、ライセンス供与や流通の早期実現を目指す一方で、第三者依存や資金調達の必要性などの事業リスクも抱えています。

経営方針

同社は主力候補薬「JOTROL」の臨床開発を軸に事業成長を図っています。具体的には、軽度認知障害(MCI)/初期アルツハイマー病を対象とした第II相試験に向けて、国立加齢研究所(NIA)へ3年間・約100名を想定した1,650万ドルの助成金申請を行っており、採択の可否は2025年5月に判明する見込みです。また、過去の新規株式公開(IPO)で純額約972万ドルを調達し、2024年末の現金保有は約377万ドルにある一方で、継続企業の前提に関する不確実性が指摘されているため、同社は資金獲得と臨床進捗の両面で短中期の数値目標を念頭に置いています。市場機会の観点では、MELAS(ミトコンドリア病)の想定市場例として年額7万5千ドル/患者で5万人治療時に約37.5億ドルの売上規模が算出されており、同社は複数適応での実用化を通じてこうした大規模市場を狙っています。

同社は研究開発と事業化での差別化を、独自の薬剤送達プラットフォームと既存データの活用で図ろうとしています。具体的施策としては、臨床・製造・規制対応を外部の専門企業に委託することで内部人員を薄く保ちながら進捗を加速し、資金繰りを改善するためにアジア展開のサービス契約を株式対価で締結する戦略を取っています。実例として、2024年6月に中国・シンガポール等で臨床支援や製造助言を行う3社と36か月契約を結び、各社に合計で3,487,500株の制限付株式を割り当てています。これにより短期の現金支出を抑えつつ、現地パートナーのネットワークを活用したアウトライセンスや販売契約の獲得を目指しています。

新規市場開拓と事業拡大では、消費者向け事業の立ち上げを明確に打ち出しています。同社はAquanova AGと提携して長寿・健康寿命を狙う栄養製品シリーズを共同開発し、「Beauty from Within」をテーマとした最初の3製品を2025年第3四半期に直販で米国市場に投入する計画です。このための専業子会社を設立予定で、米国向けのウェブ販売とソーシャルメディアを活用したマーケティングを行い、国際的にはアジアの販売パートナーを優先的に選定して市場拡大を図ります。並行して、南東アジアでの臨床・規制支援や流通交渉を想定した成功報酬型の業務委託(例えば中国・香港・シンガポール・マレーシアに関する成功報酬5%等)を通じ、現地参入の足がかりを作ろうとしています。

技術革新への取り組みとしては、JOTROLを中心に臨床データの蓄積と製剤工学(製造・管理)面での改善に投資しています。ライセンス契約によりフライデリッヒ運動失調症向けの技術を取得し、各地域で承認を受けた際のマイルストーンや販売ロイヤリティ(例:地域ごとに10万ドルの支払い、最大30万ドル、純売上の1.5%ロイヤリティ)を契約に盛り込むなど、技術移転と商業化の両面で収益化を想定した仕組みを整えています。また、第II相試験の実施が見込まれる場合に備えて、CMC(製剤・製造管理)や規制対応、臨床試験管理の外部パートナーとサービス契約を結び、承認取得に必要な品質・安全性データの整備を進める方針です。