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エアークローゼットJP:9557
事業内容
エアークローゼットは、スタイリストが顧客の好みに合わせて洋服を選び、自宅へ配送してレンタルする月額定額制のファッションサービス「airCloset」を主に展開しています。スタイリングは非対面のオンラインで行い、返却後のクリーニングやメンテナンスまで同社が一括で行うことで、手軽に多くの洋服を試せる体験を提供しています。
顧客は20〜50代の女性が中心で、特に30代後半から40代の働く女性や子育て世代の利用が多く見られます。収益は主に月額会費が柱で、プラン別の定額収入に加え、レンタル中の購入やエコセール、ダブルレンタルやアクセサリーなどのオプション課金、スタイリスト指名、法人向けレンタルや梱包内広告といった複数の収益源を持っています。
事業構成はパーソナルスタイリングが単一セグメントの中核ですが、生活家電などを扱うメーカー向けの月額制レンタルモール「airCloset Mall」も運営しており、メーカーとのプラットフォーム契約や売上分配による収益を図っています。加えて同社は独自の物流・クリーニング体制や倉庫運用、300名超のスタイリストと顧客の体験データを活用した個別対応により、顧客満足と在庫効率の向上を進めています。
経営方針
同社は「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」というビジョンのもと、まず短期目標として売上高100億円の早期達成を目指しており、中期的には1,000億円の売上高を実現することを目指しています。成長の重要指標は月額会員数の拡大と一人当たり限界利益の改善で、会員増加は新規獲得チャネルの多様化、限界利益改善はアップセルやクロスセル、運用効率化で達成する計画です。市場環境としてはシェアリング経済やECの拡大が追い風であり、同社はこれらのトレンドを取り込みつつ着実な会員基盤の拡大を図っています。
重点投資分野は会員制サブスクリプション事業の強化、都度レンタルや物品販売などのスポット型収益拡大、そして法人向けの物流プラットフォーム提供です。差別化要因として同社は、スタイリストによるパーソナルスタイリングと自社で開発したスタイリング推薦システムや倉庫管理システム(特許取得済み)を挙げており、返却後のメンテナンスや個品管理を含む還流物流で高い顧客満足と在庫効率を実現しています。さらに環境面では衣服廃棄ゼロを掲げるなどサーキュラー(循環型)な仕組みを強みにしています。
新市場開拓では、メンズ向けサービスの投入や結婚式・パーティー向けのドレスレンタルなどオケージョン領域、生活家電を扱う月額制モールの拡大、そして法人向け福利厚生としての導入やAC-PORTの外部提供を通じたB2B展開を計画しています。海外では日本のファッションに親和性の高いアジア市場を主なターゲットにしており、これらの施策で会員以外の顧客層や地域を取り込み、物流取扱量を増やしてスケールメリットによるコスト低減を図ります。
技術革新については、同社はデータ活用と人工知能の活用による顧客体験(UX)向上と業務効率化を重視しています。具体的にはサーバーの負荷分散や安定運用、個品単位のトラッキングを可能にする倉庫管理の高度化、メンテナンス工程の自動化といった物流側の技術投資を進めています。開発体制の強化としてはベトナムの子会社による開発リソースの確保も行っており、これらの取り組みでCVR(流入から会員化率)向上や一人当たり売上の増加を図り、最終的にairCloset事業の営業黒字化を目指しています。