ファイバーゲートJP:9450

時価総額
¥142.1億
PER
10.9倍
通信サービス・不動産の有力企業。集合住宅向け無料光回線、観光施設向けフリーWi-Fi、VPN等法人向けネットワークや独自開発のWi‑Fi機器を展開。2025年8月にパワーでんきイノベーションを買収。国内中心に展開。

事業内容

株式会社ファイバーゲートは、集合住宅や商業施設などに通信インフラを構築し、自社開発の機器から設置、運用、サポートまで一気通貫で行う通信サービスを主力としています。同社は光回線とWi-Fi機器を用いて入居者や来訪者に安定した接続環境を提供し、法人向けのネットワーク構築にも注力しています。

主要な顧客は賃貸マンションのオーナーや学生寮、観光施設や商業施設、介護・医療施設などの運営者で、導入によって入居率向上や利用者満足度の改善につなげています。収益は長期契約による継続的な利用料収入と、導入時に発生する工事や機器販売による一時収入の両面で成り立っています。

同社は事業をホームユース事業、ビジネスユース事業、不動産事業に分けて展開しており、ホームユースでは全戸一括で無料インターネットを導入するサービスを提供しています。ビジネスユースではフリーWi-Fiや多拠点向けの安全なネットワーク構築、介護・医療向けの接続環境整備を手がけ、不動産事業では売買・賃貸のほか太陽光や蓄電池の設置を含む再生可能エネルギー事業もグループ内で展開し、2025年にEPCの知見を持つ会社を連結子会社化して体制強化を進めています。

経営方針

同社は成長ステージを「第5ステージ」へ移行させ、従来の独立系Wi‑Fi事業から構内インフラ・インテグレーター(通信×エネルギー)への転換を進めています。中期的には経常利益で50億円を目指す方針を掲げており、直近の通期予想では2026年6月期の売上高を140.5億円、営業利益・経常利益を各20.0億円、当期純利益を12.7億円と見込んでいます。成長投資として今後2年間で50〜60億円の戦略投資を想定しており、維持更新や通常の設備投資に30〜40億円、株主還元として2年で合計10億円を見込むなど、積極的な資金配分を行っています。

重点投資分野はホームユース(集合住宅向け)とビジネスユース(ホテル・介護・BCP等)に加え、通信と再生可能エネルギーを組み合わせたソリューションです。差別化の施策として、地域別営業体制への再編で通信とエネルギーのクロスセルを加速し、パートナー企業の強化や機器・サービスの品揃え充実でワンストップ提供を目指しています。人手不足や既築案件の潜在需要を課題と捉え、既存物件の掘り起こしを進めるとともに、顧客ごとに合わせたカスタマイズ対応力の向上に投資しています。

新市場開拓では医療・介護、公共・交通・物流、観光の3領域を重点ターゲットに据え、フリーWi‑Fiだけでなく業務用ネットワークやBCP対策向けの需要を開拓しています。また消費者向け(BtoC)の新ビジネスモデル導入や、グループ内での再生可能エネルギー事業拡大も進めており、2025年にEPC知見を持つ会社を連結子会社化するなど事業基盤の強化を行っています。セグメント別ではホームユース売上を2026年に約116億円、ビジネスユースを約18.1億円へ引き上げる計画です。

技術面では自社での機器開発から設置・運用までの一気通貫体制を強みとし、台湾子会社での通信機器製造を通じて製品開発力とコスト競争力を高めています。社内面では基幹システムの改修や外部サービスの活用で業務効率と生産性を高めるとともに、通信トラフィック増大や為替変動に備えた回線有効活用や為替予約の検討などでコスト上昇への対策も進めています。これらにより通信×エネルギーのワンストップ提供での差別化を図り、実績とノウハウの蓄積で競争優位を確立しようとしています。