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フルヤ金属JP:7826
事業内容
株式会社フルヤ金属は、工業用の貴金属製品の製造と販売を主力事業としています。プラチナ系を中心とした貴金属の特性を生かし、耐熱容器(ルツボ)や薄膜材料、熱電対などの部材を作っています。
同社の主要顧客はエレクトロニクス、光学ガラス、半導体、クリーンエネルギーや医療分野のメーカーで、これら向け製品の受注が収益の柱です。加えて貴金属原料の販売やリサイクル・精製の受託も収入源になっています。
事業は用途別に「電子」「薄膜」「サーマル」「ファインケミカル・リサイクル」「サプライチェーン支援」の各分野で展開しています。例えば電子分野では光学ガラスや通信機器向けの素材を、薄膜分野では磁気記録や次世代半導体向けの高純度板材や薄膜製造の受託を行っています。
経営方針
同社は2026年6月期から2030年6月期を対象とした中期経営計画「KFKビジョン2030」を掲げ、独自技術で高付加価値を創出しつつデジタル社会とグリーン社会の実現に貢献することで持続的な成長を目指しています。具体的な財務目標として2030年6月期に売上高1,500億円、経常利益200億円、自己資本利益率(ROE)10%以上、投下資本利益率(ROIC)8%以上を目標に設定しており、基礎収益力の強化と収益の安定化を最優先課題としています。
重点投資分野は電子、薄膜、サーマル、ファインケミカル、回収・精製の五分野で、同社はプラチナ系を中心とした貴金属(PGM)を軸に高付加価値製品を提供する差別化を図っています。差別化の具体策としては、営業・開発・製造の連携による製品設計の最適化、製造工程の標準化と自動化による品質安定、ならびに貴金属調達力の強化に資する設備投資を進め、特に貴金属回収能力の増強に積極的に資本を投じています。
新市場開拓では半導体や通信、光学ガラス、クリーンエネルギー、医療といった高機能化が進む分野を狙い、受託加工や材料供給、回収・精製サービスを通じて事業領域を広げる計画です。加えて、天災や地政学リスクを踏まえたサプライチェーンの強靭化を重視しており、田中貴金属工業や鉱山会社との取引関係の維持・強化を通じて原料の安定確保を図ることで事業拡大の基盤を固めています。
技術革新への取り組みとして同社は高付加価値製品の研究開発と回収技術の確立を両輪で進めています。具体的には製造工程の自動化・効率化による原価低減と品質安定、回収プロセスの改良と新技術導入による回収率向上、そして環境・安全対策やガバナンス体制の整備を通じて持続可能なものづくりを実現し、これらを通じて顧客・株主からの信頼獲得を目指しています。