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プレシジョン・システム・サイエンスJP:7707
事業内容
プレシジョン・システム・サイエンス㈱は、バイオ関連分野向けのラボ自動化装置や臨床検査用の遺伝子検査機器、それらで使う試薬や反応容器といった消耗品の開発・製造・販売を行っています。同社は核酸自動抽出装置を主力に、装置と試薬・消耗品を組み合わせたソリューションで顧客の検査業務を支えています。
主要な顧客は大学や研究機関、臨床検査センター、製薬会社、化学メーカーなどで、ワールドワイドに事業を展開しています。同社は業界大手との提携によるODM(設計から受託して相手先ブランドで販売)を中心に、国内や欧米拠点を通じた自社販売、消耗品や保守部品の販売で収益を確保しています。
事業は大きく「装置」「試薬・消耗品」「メンテナンス関連」「受託製造・受託検査」の四つに分かれています。同社は製造子会社による生産体制と欧州子会社による販売・サービス支援を組み合わせ、製品供給からアフターサービス、外部向けの受託製造・検査まで一貫した事業展開を行っています。
経営方針
同社は短中期での黒字回復と着実な成長を目指しています。第36期の営業利益770百万円をピークに業績は悪化し、第39期は当期損失が出ているため、2025~2027年の3年間で年度ごとに売上を250~600百万円増やすことを目標に掲げ、2027年6月期末に連結営業利益約400百万円を達成する計画です。主要事業である自動化装置と試薬・消耗品売上については、2024年6月期を基準に年平均で8%以上の成長(CAGR)を目指し、売上総利益率35%、営業利益率5%以上といった収益性の改善も同時に進めています。
同社は装置本体と消耗品を組み合わせた「一貫した検査ソリューション」を差別化の軸としています。主力の核酸自動抽出装置に加え、消耗品や反応容器、各種試薬の品質向上と安定供給に重点投資し、受注から生産、出荷までの計画精緻化や大館試薬センターの稼働率向上でコスト低減を図ります。また、相手先ブランド向けの設計受託(ODM)や既存の欧米拠点を通じた販売網を活用し、顧客基盤の拡大と保守・消耗品の継続的な収益化を目指しています。
同社は新市場の開拓と事業領域の拡大にも取り組んでいます。大学・研究機関、臨床検査センター、製薬会社といった既存顧客に加え、欧米拠点を通じた自社販売の強化や大手企業との提携を通じて海外市場の比率を高め、装置の導入後に継続的に収益を生む試薬・保守部門を成長の柱に据えます。さらに外部向けの受託製造や受託検査の受注拡大を通じて工場の稼働率を高め、売上の安定化とキャッシュフロー改善を図る計画です。
同社は技術革新を成長の源泉と位置づけ、研究開発と製品化の速度を高めることを目指しています。顧客ニーズに即した開発目標を明確にして経営資源を集中投入し、設計品質と納期遵守を徹底することで高付加価値製品の迅速な市場投入を実行します。加えて、品質保証や生産プロセスの改善により試薬センターの生産効率を上げるほか、外部専門家の助言や社外取締役の招聘によって技術と経営の両面で課題解決を進め、持続的な競争力強化を図っています。