クラシコムJP:7110

時価総額
¥151.8億
PER
15.7倍
ライフカルチャープラットフォーム事業の有力企業。D2CのECサイトと読み物・動画など多彩なコンテンツを展開。2007年創業、2021年6月にオリジナル映画を劇場公開、2025年7月時点でYouTube登録者103万人。日本国内中心の展開。

事業内容

クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」を核に、暮らしに関する商品販売と独自コンテンツの発信を組み合わせたライフカルチャープラットフォームを運営しています。ECでのアパレル・キッチン・インテリア雑貨の販売に加え、記事や動画、ラジオ、音楽プレイリストなど多様なコンテンツでユーザーとのつながりを深めています。

同社の主要顧客は「自分らしい暮らし」を求める消費者で、収益の大半は自社サイトを通じた消費者向け直接販売(D2C)から生まれています。自社企画のオリジナル商品が売上の約半分を占める一方で、企業向けにブランド構築や動画制作などのソリューション提供による受託収入も得ています。

同社は報告上、「北欧、暮らしの道具店」と子会社が運営するファッションブランド「foufou」の二つのセグメントで事業を展開しています。前者はD2Cとブランドソリューションの二本柱で、読み物や動画、SNSといったコンテンツをカルチャー資産として活用し顧客のエンゲージメントを高めています。後者はデザイン性の高い衣料や雑貨を自社ECやポップアップで販売し、プラットフォーム全体の拡張に寄与しています。

経営方針

同社は「フィットする暮らし、つくろう。」を掲げ、ライフカルチャープラットフォーム事業を通じた持続的な成長を目指しています。収益の大半は自社サイトを通じた消費者向け直接販売(D2C)に依存しており、オリジナル商品の売上が約半分を占める点が収益基盤の特徴です。成長の評価にはエンゲージメントアカウント数、累計会員数、年間購入者数といったユーザーとの関係性を示す指標を用い、市場環境としては物販系BtoC-EC市場が2024年に15.2兆円、EC化率は約9.8%とまだ拡大余地があることを踏まえて市場平均を上回る売上成長を継続することを目指しています。

同社はコンテンツとデザインへの投資を重点分野とし、強い世界観(カルチャーアセット)で他社と差別化する戦略を取っています。記事や映像、ラジオや音楽プレイリストといった多様なコンテンツを通じてユーザーの共感を獲得し、その上でオリジナル商品や著名ブランドとのコラボ、限定企画を組み合わせることで購買につなげています。また「カテゴリの花束戦略」と称して取り扱いカテゴリを拡充し、ブランドソリューション領域では動画制作やタイアップなど高単価メニューで案件単価の向上を図ることで差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大については、既存ビジネスラインの拡大に加えて新規ビジネスラインの開発を掲げています。エンゲージメントチャネルの拡大、特にアプリを中心としたアカウント数の増加を重要視しており、アプリダウンロードを訴求する広告投資やクリエイティブ改善によって潜在顧客群を形成し購入者数の増加を狙っています。従来ほとんど行ってこなかったマス広告やセールスプロモーションにも段階的に挑戦し、認知拡大と既存会員への購買機会提供を強化することで中長期の成長基盤を固めようとしています。

技術革新への取り組みとしては、デジタルチャネルとデータの活用を進めることで顧客の定着や広告投資の効率化を図っています。同社はアプリや各種チャネルで得られる行動データを蓄積し、クリエイティブ改善や購入促進施策に反映させることを重視しています。併せて適正な在庫回転や利益率(売上総利益やEBITDA、EBITDAマージン)を意識した財務運営や、有能な人材確保と外部パートナーとの協働によって技術・制作力の強化を進め、長期的な企業価値の向上を目指しています。