QLSホールディングスJP:7075

時価総額
¥54.7億
PER
11.1倍
保育事業・介護福祉事業・人材派遣事業の有力企業。2025年3月31日現在、認可保育所35施設、学童13施設、訪問介護17拠点、共同生活援助54施設などを展開。東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、奈良県、沖縄県で展開。

事業内容

QLSホールディングスは、直営の保育施設運営を中核に、介護・障がい者支援サービスと専門人材の派遣を手掛けるグループです。認可保育所や学童保育、訪問介護や有料老人ホーム、障がい者グループホームなど幅広い福祉サービスと、自動車整備士など専門職の派遣を主力としています。

同社の主要な顧客は自治体、保護者、利用者(高齢者・障がい者)、および企業(自動車ディーラーやホテルなど)です。収益は自治体からの委託費や補助金、介護・障害福祉の報酬、利用者負担の利用料、そして人材派遣の契約料が柱で、認可保育所では保護者が保育料を自治体に直接納めるため同社は徴収しない一方、その他の施設や介護サービスでは同社が利用料を受け取っています。

事業は「保育事業」「介護福祉事業」「人材派遣事業」の三本柱に分かれており、保育事業は認可保育所・小規模保育・企業主導型保育・学童保育などを運営しています。介護福祉事業は訪問介護、訪問看護、通所サービス、認知症対応の共同生活介助、障がい者向けの放課後等デイや就労支援など多様なメニューを提供し、人材派遣事業は特に自動車関連の緊急対応や福祉・宿泊業界向けの専門職派遣に強みを持っています。

経営方針

同社は持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。経営の到達点を測る指標として売上高・営業利益・経常利益を重視し、主力の保育事業を安定させつつ介護福祉と人材派遣での収益拡大を図っています。背景には保育の待機児数が2024年4月時点で全国2,567人、放課後児童の待機が17,686人と需要が高まっていること、訪問看護は2030〜2040年でサービス量が約27%増、訪問介護が約25%増と見込まれることがあります。これらの市場環境を踏まえ、同社は既存サービスの拡充と新規開設で利用者数と収益を高めることを目指しています。

同社は保育、介護・障がい支援、人材派遣の三本柱に重点投資を行い、他社との差別化を図っています。具体的には国籍や障がいの有無を問わず同じ空間で育てる「インクルーシブ保育」を保育所に併設した児童発達支援事業所で実践し、給食の安全性向上や英語教室・音楽・体操など地域ニーズに合わせた無料プログラムを専門講師を招いて導入しています。また、複数事業を持つ強みを活かし従業員の職域転換を促すことで離職を抑え、グループ内で人材を有効活用して採用コストの効率化を進めています。

新市場開拓と事業拡大では行政の施策を追い風に展開を加速しています。放課後児童対策の公的支援を受けた民間参入の好機を活用して学童保育を拡大するほか、障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、訪問看護・訪問介護の拠点増設を進めています。人材派遣では自動車整備士の緊急対応やホテル業界向けの派遣に強みを持ち、外国人技術者の採用にも注力しており、外国人労働者数は2019年42万人から2030年に67万人、2040年に93万人と推計される中で、外国人コーディネーターを配置して受け入れ体制を整備しています。

技術革新と業務改善の取り組みでは、保育・教育面でのデジタル活用と人材育成の両輪を進めています。小学校のプログラミング必修化や思考力を育む教育に対応するため、保育所ごとにプログラムを開発・導入し、職員には研修を充実させることでサービス品質を底上げしています。加えて、超過勤務時間の管理徹底など働き方改革に資するシステムを導入し、勤怠管理や拠点間での緊急ヘルプ体制をITで支援するなど、品質維持と効率化を両立させる施策を実行しています。