ワコムJP:6727

時価総額
¥1151.8億
PER
38.3倍
クリエイティブソリューションとビジネスソリューションで、ペンタブレットやビジネス用途製品、デジタルペン技術を含む部品・モジュールを提供。

沿革

1983年7月

埼玉県上尾市において資本金48百万円にて株式会社ワコムを設立

電子機器事業(現ブランド製品事業)及びECS(Engineering Collaborative Solutions)事業(エンジニアリングソリューション事業に改称)を開始

1985年6月

本社を埼玉県北葛飾郡鷲宮町(現久喜市)に移転

1988年4月

ドイツ連邦共和国にワコムコンピューターシステムズ(現ワコムヨーロッパ)を設立(連結子会社)

1990年7月

埼玉県北埼玉郡大利根町(現加須市)に豊野台工場を竣工

1991年7月

アメリカ合衆国にワコムテクノロジーを設立(連結子会社)

1993年1月

本社を埼玉県北埼玉郡大利根町(現加須市)(現在地)に移転

1996年6月

豊野台工場が国際品質保証規格ISO-9001の認証を取得(2005年3月全社拡大認証取得)

2000年3月

中華人民共和国にワコムチャイナを設立(連結子会社)

2002年4月

ペン・センサーコンポーネント分野(現テクノロジーソリューション事業)へ進出

2003年4月

日本証券業協会JASDAQ市場上場

2004年4月

大韓民国にワコムデジタルソリューションズ(現ワコムコリア)を設立(連結子会社)

12月

日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所(現東京証券取引所JASDAQ市場)に株式を上場

2005年4月

オーストラリア連邦にワコムオーストラリアを設立(連結子会社)

12月

東京証券取引所市場第一部上場

2006年3月

国際環境規格ISO-14001の認証を取得

4月

中華人民共和国 香港特別行政区にワコムホンコンを設立(連結子会社)

5月

シンガポール共和国にワコムシンガポールを設立(連結子会社)

12月

ジャスダック証券取引所への上場を廃止し、東京証券取引所市場第一部へ上場市場を一本化

2008年9月

台湾にワコムタイワンインフォメーションを設立(連結子会社)

2010年8月

アメリカ合衆国にワコムテクノロジーサービスを設立

10月

インド共和国にワコムインディアを設立(連結子会社)

2017年12月

エンジニアリングソリューション事業を日東工業株式会社へ譲渡

2019年3月

ワコムテクノロジーとワコムテクノロジーサービスを合併(前者が存続会社)

2022年4月

東京証券取引所プライム市場に移行

2023年5月

ベトナム社会主義共和国にワコムベトナムサイエンスアンドテクノロジーを設立(連結子会社)

事業内容

ワコムは、クリエイティブソリューション、ビジネスソリューション、およびテクノロジーソリューションの3つの主要な事業セグメントを持つ企業です。同社は、これらのセグメントを通じて、デジタルペン技術を中心とした製品とサービスを提供しています。

クリエイティブソリューション事業では、液晶ディスプレイ面に直接描画や文字入力が可能なペンタブレット、筆圧感知機能を持つペンタブレット、OSを搭載したクリエイティブタブレットなどを開発・販売しています。これらの製品は、グラフィックデザイン、映画やアニメの制作、写真編集、工業デザイン、イラストレーション、ホームページデザイン、オンライン教育、テレワークなど、幅広い用途で利用されています。

ビジネスソリューション事業では、教育、医療、デジタルサイン分野向けに、液晶ディスプレイ面に直接描画や文字入力ができる製品を提供しています。これにより、ビジネスシーンでのコミュニケーションやプレゼンテーションがより効果的に行えるようになります。

テクノロジーソリューション事業では、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic/EMR:Electro Magnetic Resonance)を搭載したデジタルペン、マルチタッチセンサー、タッチパネル等の部品及びモジュールを開発・販売しています。これらの技術は、タブレットPC、電子書籍、携帯端末などのモバイル機器に組み込まれ、ユーザーに新たなインタラクティブ体験を提供しています。

ワコムは、これらの事業を通じて、クリエイティブなコンテンツ制作からビジネスコミュニケーション、テクノロジーの革新に至るまで、幅広い分野で貢献しています。同社の製品とサービスは、ワコム自身およびワコムヨーロッパ、ワコムテクノロジー、ワコムチャイナ、ワコムコリア、ワコムオーストラリア、ワコムホンコン、ワコムシンガポール、ワコムタイワンインフォメーション、ワコムインディアなど、世界中の関連会社によって支えられています。

経営方針

ワコムは、2022年3月期から2025年3月期を対象とする中期経営計画「Wacom Chapter3」に基づき、事業を展開しています。この計画では、「Life-long Ink」のビジョンのもと、技術革新、コミュニティとの連携、新しいコア技術の開発、持続可能な社会への貢献、そして財務的な成長に加えて多面的な意味を持つ成長を目指す、という5つの戦略軸を設定しています。

同社は、技術革新の源泉として、液晶ペンタブレットのフラッグシップモデル「Wacom Cintiq Pro 27」を市場に投入し、プロクリエイターに新たな創作体験を提供しました。また、技術コミュニティ、ビジネスコミュニティ、文化コミュニティとの連携を深め、新しい技術の共同開発や新しいビジネス、文化体験の創出に取り組んでいます。

新しいコア技術としては、AI、XR、セキュリティを組み合わせたデジタル手書き技術の開発を進めており、これにより新たな体験価値を提供しています。例えば、AIを活用した学習体験サービスの共同開発や、クリエイターの権利を守るサービス「Wacom Yuify」の開発、独自のメタバース空間の立ち上げや「空間描画」を可能にするWacom VR Penの開発などが進行中です。

持続可能な社会への貢献として、修理しやすい構造の追求やリサイクル素材の活用、アカデミアとの共同研究を通じた環境ケア新素材の開発に取り組んでいます。また、財務的な成長だけでなく、技術を通じたユーザー体験の提供を通して社会の成長に貢献することを目指しており、その一環としてコミュニティイベント「Connected Ink」を開催し、同社の価値提供と取り組みを紹介する「Wacom Story Book」を発行しました。

これらの取り組みは、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱や消費者行動の変化など、事業環境の大きな変化に対応するための事業構造変革の一環として位置づけられています。ワコムは、商品ポートフォリオの刷新、事業構築のための集中領域の設定、販路マネジメントの強化、在庫マネジメントの改善、顧客と用途の拡大、一般教育分野での事業開拓、資本政策と株主還元のアップデート、新ビジネスへの投資と立ち上げなど、8つの施策に取り組んでいます。これらの施策を通じて、ワコムは事業構造を変革し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。