ニデックJP:6594

時価総額
¥2.35兆
PER
11.3倍
精密小型モータや車載用製品の製造・販売の最大手。HDD用モータや家電・産業向けモータを展開。機器装置、電子・光学部品を展開。連結子会社342社、持分法適用関連会社4社体制。日本、米国、欧州、アジアで展開。

事業内容

ニデックは精密小型モーターを柱に、車載向け製品や家電・商業・産業向けの機器、工作機械、電子・光学部品の設計・製造・販売を行う企業です。同社は小型モーターの高い技術力を活かし、部品からモーターを組み込んだ完成品や制御システムまで幅広く手がけています。

主要な顧客は自動車メーカーや家電・産業機器メーカー、電子機器メーカーなどで、量産部品の供給とシステム提案を通じて売上を得ています。同社は複数事業からの収益を重ね、長期供給や顧客との協業によって安定的な収益基盤を築いています。

事業は報告上6つのセグメントで構成され、精密小型モーター、車載製品、家電・商業・産業用製品、機械(工作機械や装置)、電子・光学部品、グループ会社事業を中心に展開しています。同社はモーター単体だけでなくモジュールや制御機器、工作機械までの製品ラインを持ち、世界各地の生産拠点と販売網を通じて顧客ニーズに応えています。

経営方針

同社は2027年度を目標年とする新中期計画「Conversion2027」を掲げ、連結売上高2.9兆円、営業利益3,500億円(営業利益率12%)、ROIC12%を目指しています。達成に向けては、2025年度から事業の再編や拠点統廃合、人員の合理化などで収益構造を抜本的に転換し、変動費は不採算事業の縮小と材料費低減、固定費は製造間接中心の削減で利益率を改善する方針です。加えて、システムやデジタル化、先行開発、自動化投資には売上高の約1%を目安に戦略投資枠を確保し、安定的に成長投資を続ける姿勢を示しています。

同社は成長の重点分野を「事業5本柱」として明確化しており、特にAIサーバ向けの水冷モジュールや電動車向けモータ、再エネ蓄電や産業用高効率モータなど、需要拡大が見込まれる領域へ重点投資を行っています。差別化策としては、部品の内製化や生産キャパシティ拡大、品質作り込みによるコスト競争力の強化、そしてモーター単体から制御系やモジュールを含むシステム提案まで一貫して提供できる点を打ち出しています。特に空冷では対応しきれない高熱を扱うAI用途向けに水冷技術を強化するなど、用途に応じた技術で競合優位を築いています。

同社は新市場の開拓と事業拡大に向けてM&Aと現地化を組み合わせた戦術を取っています。工作機械分野では三菱重工工作機械の買収(現ニデックマシンツール)以降、OKKやPAMA、TAKISAWAなどを取り込み製品ラインを拡充し、2030年度までにグローバルでの首位獲得を目指しています。車載分野では欧州での合弁によるE‑Axleの量産開始や、中国市場向けの部品現地調達によるコスト低減、二輪電動車の大市場であるインドでの販売強化など、地域ごとの需要に合わせた「地産地消」戦略で市場シェア拡大を図っています。

同社は技術革新を成長の原動力と位置付け、研究開発や自動化、省エネ技術への積極投資を継続しています。組織面ではチーフオフィサー制の強化やフェロー制度による技術継承を進め、意思決定のスピードアップとリーンなグローバル体制の構築を進めています。環境面では2040年度までに自社のCO2排出(スコープ1・2)をネットゼロ、2050年度までにサプライチェーンを含む全体(スコープ3)をネットゼロにする長期目標を掲げ、2030年度にスコープ1・2を2022年度比で42%削減、スコープ3を同25%削減する中間目標をSBTiの検証を経て設定するなど、製品と事業運営の両面で技術的・環境的な競争力を高めようとしています。