ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズJP:6090

時価総額
¥38.8億
PER
14.3倍
メタボローム解析によるヘルスケア研究開発支援の新興企業。CE-MS法を核とした高感度網羅解析とLSS・FDS・BMSの受託ソリューションを展開。慶應義塾大学のアントレプレナー資金が出資、2003年7月設立、2026年6月期に事業セグメント統合。欧米に販売子会社を有し展開。

事業内容

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは、代謝物質(メタボライト)の網羅的な解析技術を核に、試料の受託解析と解析結果に基づくソリューション提供を行う企業です。同社は高感度のメタボローム解析を用いて、生命現象の理解や素材・製品の機能評価を支援しています。

同社の主要な顧客は製薬企業、大学・公的研究機関、食品・素材メーカー、バイオものづくりに取り組む企業など多岐にわたります。収益は受託解析の報酬と解析結果に基づくコンサルティングや開発支援パッケージの販売が中心で、小規模臨床試験や独自の予測サービスも収入源になっています。

事業は一体化した単一の事業体制で運営し、提供サービスは大きく三分野に分かれます。ライフサイエンス研究支援ではバイオマーカー探索や作用機序の解明を支援し、機能性素材開発支援では成分探索から目利き臨床試験、ヘルスクレーム予測までワンストップでサポートします。バイオものづくり支援では培養プロセスの解析を通じて生産性向上策を提案し、製造効率化に貢献しています。

経営方針

同社は2024年〜2026年の中期経営計画で「成長基盤構築」を掲げ、最終年度である2026年6月期に連結売上高16億円、連結営業利益3億円を目標としています。直近では12期連続で増収を達成しており、前期は営業利益が対前年で13.3%増となるなど着実な収益改善を進めており、同社はこの勢いを維持・加速させることを目指しています。

重点投資分野は、ライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援の三本柱です。中でも2025年7月に提供開始したバイオものづくり支援は、生産性向上の実証結果を得ており、企業向けに生産プロセスの解析と改善提案を一体で提供する点で差別化を図っています。受託解析に基づくコンサルティングや開発支援パッケージの販売と組み合わせ、製薬・食品・素材メーカーなど企業顧客のニーズに応える収益モデルを強化しています。

新市場開拓と事業拡大では、国内外のバイオ関連市場の拡大を見据え、既存サービスの安定成長と新規サービスの早期立ち上げを並行して進めています。事業セグメントは2026年6月期から統合し、ライフサイエンス研究支援、機能性素材支援、バイオものづくり支援の三本柱で資源を機動的に配分することで、企業分野での売上拡大と新規事業創出を加速させる計画です。加えて海外需要にも対応し、顧客基盤の多様化を図っていく方針です。

技術革新への取り組みとしては、同社の強みである高感度のメタボローム解析技術をさらに進化させるとともに、解析キャパシティ拡大と生産性向上のための具体策を実行しています。鶴岡本社での生産管理システム導入、ロボットによる自動化、高速解析手法の開発、解析工程でのAI活用による省人化を推進し、解析時間短縮とコスト改善を目指します。併せて情報セキュリティやリスク管理体制の強化、従業員の能力開発にも注力し、新規事業創出力の向上を図っています。