日本電解JP:5759

時価総額
¥109.6億
PER
硫酸銅を主成分とする電解液から金属銅を薄膜状に析出生成し、加工する電解銅箔製造事業を展開。

沿革

年 月

概  要

1958年10月

電子回路基板用の銅箔製造を目的として、㈱日立製作所、住友ベークライト㈱、高速電気鋳造㈱の共同出資により京都市下京区七条御所ノ内北町に設立(資本金15百万円)

1958年12月

連続方式による印刷回路用電解銅箔の工業化試験研究開始

1959年1月

新工場建屋(京都工場)完成、連続箔試作研究設備の据付完了

1961年7月

茨城県下館市(現・筑西市)に下館工場を開設

1963年4月

日立化成工業㈱(現・㈱レゾナック)の設立(㈱日立製作所より分離独立)に伴い、日立化成工業㈱の関係会社化

1963年8月

連続箔工業化の実施決定

1967年5月

「ニッケル、鉄及びモリブデン三元合金メッキ方法」に係る特許取得

1969年5月

下館工場内に溶解工場、製箔工場完成

1969年12月

下館工場内に連続製箔設備、自動表面処理設備増設、塗布工場完成

1971年8月

京都工場を改築し、新方式による製箔設備、表面処理設備を設置

1975年2月

京都工場にて製箔設備の操業自動化

1983年1月

静岡県藤枝市に藤枝工場を開設、操業開始

1984年10月

茨城県下館市(現・筑西市)に下館第二工場を開設、操業開始

1985年11月

京都工場の操業終了

1993年4月

下館地区2工場の統合(下館第二工場を下館事業所下館工場に改称)

1993年10月

下館事業所を下館工場に改称

1994年1月

旧下館工場の操業終了

1997年9月

下館工場ISO9001認証取得

1998年6月

電池用銅箔(現・車載電池用銅箔)の販売開始

2000年10月

藤枝工場ISO9001認証取得・下館工場ISO14001認証取得

2001年2月

2001年6月

下館工場無災害記録賞(第1種)受賞

藤枝工場ISO14001認証取得

2002年1月

本社を茨城県下館市(現・筑西市:下館工場内)に移転、中央区日本橋本町に東京事務所を開設

2002年8月

台湾台北市の南亞塑膠工業股份有限公司との間で技術供与契約を締結

2002年9月

藤枝工場の操業終了

2002年12月

微細回路基板用銅箔の販売開始

2002年12月

東京事務所を閉鎖

2006年6月

キャリア付極薄銅箔の販売開始

2012年11月

高強度銅箔の販売開始

2016年6月

MSD企業投資一号㈱(現・当社)を設立

2016年7月

MSD企業投資一号㈱が旧日本電解の株式を取得し、完全子会社化

2017年4月

当社の商号をMSD企業投資一号㈱から日本電解ホールディングス㈱に変更

2018年6月

車載電池用銅箔の製造ライン増設

2019年10月

日本電解ホールディングス㈱と旧日本電解が合併し、日本電解㈱に商号変更

2020年3月

北米における製造販売拠点としてDenkai America Inc.(現・連結子会社)の全株式を取得し完全子会社化

2021年6月

東京証券取引所マザーズ市場(現・グロース市場)に株式を上場

2023年5月

Denkai America Inc.Camden工場内に車載電池用銅箔製造ラインを竣工

事業内容

日本電解は、自社および子会社2社(連結子会社1社、非連結子会社1社)で構成される企業グループであり、主に電解銅箔製造事業を手がけています。この事業は、硫酸銅を主成分とする電解液から金属銅を薄膜状に電気分解により析出させ、加工することに特化しています。電解銅箔は、電子・電気機器の回路基板の導体や、電気自動車などの電動機械に使用されるリチウムイオン二次電池(LIB)の負極集電体に主に用いられるなど、日常生活に欠かせない様々な機器に使用されています。

同社の製造工程は、ベース箔製造工程、粗化・表面処理工程、スリット・検査工程、出荷工程の4段階に分かれており、資源リサイクルから得られる銅材料を使用しています。特に、ベース箔製造工程では、硫酸銅溶液を電解槽内で電気めっきすることにより、帯状の銅箔を製造しています。この銅箔は、車載電池用銅箔や微細回路基板用銅箔など、様々な用途に応じた製品として提供されています。

日本電解グループは、高品質な銅箔製品を提供するために、製品の厚さや品質管理において高い精度を要求されています。例えば、車載電池用銅箔や高強度銅箔は、高い引張強さを持ちながらも、加工工程でのしわや不具合が発生しにくい特性を持っています。また、キャリア付極薄銅箔は、200℃を超える温度でも安定した剥離強度を有しています。

同社は、本社工場と連結子会社であるDenkai America Inc.の2拠点で製造を行っており、車載電池用銅箔や高強度銅箔、微細回路基板用銅箔、キャリア付極薄銅箔などの製造販売を行っています。また、連結子会社は汎用箔の製造販売も手がけており、米国内の大手銅張積層板メーカー等への販路を有しています。これらの製品は、5G関連製品のバリューチェーンの中で高機能電解銅箔として位置づけられており、日米の大手銅張積層板メーカーを通じて、5Gスマートフォンや5G基地局の実装OEMメーカーへの販路を有しています。

経営方針

日本電解は、電解銅箔製造事業を核として、電子・電気機器や電動機械に不可欠な銅箔を提供しています。同社は、高付加価値分野へのシフト、技術力の更なる強化、連結子会社との事業シナジー拡大を中長期的な経営戦略として掲げています。

高付加価値分野へのシフトでは、車載電池用銅箔や高速通信分野をターゲットに、収益性の高い製品の販売比率向上を目指しています。技術力の強化に関しては、プロセス技術開発の推進を通じて製品の品質向上や生産効率の改善を図り、コスト競争力の確保に努めています。また、市場ニーズに適合する製品の開発も積極的に推進しています。

連結子会社との事業シナジー拡大については、電動自動車シフトの加速と車載用リチウムイオンバッテリー(LIB)向け銅箔需要の高まりを背景に、連結子会社での車載電池用銅箔生産開始に向けた体制整備を進めています。また、米国市場への製品供給強化や、連結子会社が有する顧客基盤を通じた輸出販売の促進、技術支援を通じた品質向上などに取り組んでいます。

さらに、ESGへの取り組みとして、脱炭素社会・循環型社会の実現に貢献する方針を打ち出しています。銅材料の100%再利用や車載電池用銅箔によるxEV普及への寄与を通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。

これらの戦略を通じて、日本電解は、技術のパイオニアとしてのプライドを持ち、先端技術の探求と研究開発に取り組み、グローバル市場で選ばれる電解銅箔メーカーとしての地位を確固たるものにしていく方針です。