ヒューマンテクノロジーズJP:5621

時価総額
¥171.4億
PER
19.3倍
勤怠管理SaaSの有力企業。クラウド勤怠管理サービス「KING OF TIME」を展開、顔認証や静脈認証など多様な打刻手段とAPI連携を備えたサービス。2003年12月リリース、2025年3月末で販売パートナー経由の課金ID比率約64%。国内中心に展開。

事業内容

ヒューマンテクノロジーズは、勤怠管理を軸にクラウド型の人事・勤怠SaaSを開発・提供しており、代表サービスは「KING OF TIME」です。同社は「オペレーションから解放し、創造的業務への後押し」を掲げ、出退勤の打刻から勤怠集計、休暇管理までを一元管理できるクラウドサービスを中心に事業を展開しています。

顧客は中小・中堅企業をコアに、近年はセキュリティ要件の高い大手企業への導入も増えています。収益は主に課金IDに基づく定額のサブスクリプションが中心で、販売パートナーやOEM経由の間接販売が約64%を占める販売チャネルの強さが特徴です。

事業面では、KING OF TIMEにリソースを集中しつつ、人事管理や給与計算サービスとの連携を進めるオープンなエコシステムを構築しています。具体的には生体認証やICカード、スマホ打刻、シフト管理、残業・申請ワークフロー、APIやCSVによる給与連携、充実したサポートとセキュリティなどを揃え、業種・規模を問わず導入できる製品ラインを提供しています。

経営方針

同社は「KING OF TIME」を核に、低価格のワンプライス戦略でシェアを拡大することを成長の柱としています。具体的には月額1ユーザー300円の価格を維持しつつ、顧客当たり売上高の向上で事業拡大を図っています。直近の計画では連結売上高を2025年3月期に約6,031百万円、KOTのSaaS売上を約5,346百万円、ARRを約5,749百万円まで引き上げることを見込み、利用社数を6万社超、利用ID数を約385万ID、課金ID数を約290万IDへ拡大することを目指しています。

重点投資分野はプラットフォームの機能拡張と顧客接点の強化です。具体的には勤怠から給与計算までの自動化を進めるための開発、人事労務・給与領域とのAPI連携やPKG変換ツールの整備、有償のプレミアムサポートや給与計算のBPOなどの付帯サービスを拡充します。同時に情報セキュリティの専任チームを設置し、機密情報・個人情報の保護体制を強化することで大手企業にも対応可能な信頼性を高めています。組織面では積極的な採用と人事制度整備を進め、長期的に人材が活躍できる環境づくりを行っています。

新市場の開拓では販売パートナー・OEMチャネルと士業ネットワークの拡充を通じた間接販売の強化を打ち出しています。国内では社会保険労務士や税理士などと連携して導入企業数を伸ばし、パートナーサービスを「KING OF TIME」のポータルを通じてシームレスに提供することで顧客の囲い込みを狙っています。海外展開は東南アジアを重点地域とし、2022年にタイ現地法人を設立して日系企業を足がかりに展開を開始しており、長期的には日本と同等かそれ以上の事業規模を目指して先行投資を行っています。

技術革新の取り組みは、データ活用とソフトウエア資産の整備に向けられています。勤怠データを蓄積して分析し、人時生産性向上の気づきを提供するデータ分析基盤を強化しており、「KING OF TIME電子契約」など将来の収益が見込める開発はソフトウエアとして資産計上して管理を厳格化しています。さらに生体認証やICカード、スマホ打刻など打刻方式の多様化や、給与連携の自動化、タイムスタンプ付きの電子契約などを通じて運用負荷を下げ、日常業務からの「解放」と創造的業務への転換を後押しすることを同社は目指しています。