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ArentJP:5254
事業内容
Arentは、建設業とプラントエンジニアリングに特化して、現場に埋もれた「暗黙知」を可視化・定型化し、業務効率化を図るコンサルティングとソフトウエア開発を行っています。自社開発やM&Aで揃えた業界向けのプロダクトを組み合わせ、システム導入から運用まで一貫して支援しています。
同社の主要顧客は大手建設会社やプラント事業者で、顧客と共同で課題発見から試作、実用化、継続的な追加開発まで長期にわたり関係を築くことで収益を確保しています。収益構造は、コンサルティングとシステム開発の契約収入に加え、ソフトのライセンスや保守・追加開発といった継続的なサービス収入が中心です。
事業は大きく三つに分かれており、(1)顧客と共にプロダクトを作る「プロダクト共創開発」、(2)共創で生まれた製品を外販する「共創プロダクト販売」、(3)自社で開発・買収した製品を展開する「自社プロダクト」があります。具体例としては、概念実証から実用化へと進めて長期の継続開発につなげる案件、プラントの配管設計を自動化する「PlantStream」のライセンス販売、BIM連携や設計支援ツールなどの自社製品群を提供し、今後はAI組み込みや業界特化型のSaaS拡充を進めています。
経営方針
同社は短期的には既存の「プロダクト共創開発」を拡大し、まずは建設業界内での非連続成長を実現することを目指しています。市場想定では建設・土木分野のIT投資市場を約1兆円、うち同社が主に狙うターゲット市場を約5,500億円と試算しており、その中で10%のシェア(売上約550億円)獲得を中長期の目標に掲げています。経営上の評価指標としては売上高成長率と売上高営業利益率を重視し、FY2025までに足場を固め、その後は共創プロダクトの拡販やM&Aによるプロダクト拡充で継続的成長を図る計画です。
同社は投資の重点を「3Dを核としたシステム開発力」「建設業に特化したナレッジ」「課題発見から事業化までをハンズオンで実行する力」の三つの強みに置いています。具体的な施策としては優秀なエンジニア採用の強化やフルリモート環境整備、海外子会社の設立などで開発体制を拡充し、PRとブランディング施策で大手クライアントからの案件獲得を狙います。ニッチ領域のレガシーシステムをBIM化・SaaS化して高い市場シェアと高利益率を実現することを差別化の中心に据えています。
同社は新市場開拓の手段として、業界大手との共創による共同製品開発とその外販を重視しています。開発したプロダクトはクライアント経由での販売やジョイントベンチャー設立で外部展開し、ライセンス料や保守・追加開発といった継続的収益を増やす考えです。また、中小規模の業界特化型SaaSをM&Aで取り込みつつ各社の経営独立性を尊重して育成することで、製品群としての幅を広げる方針です。PlantStreamなど既に大手向けの大型案件を受注しており、国外販売の拡大も並行して進めています。
同社は技術革新を事業の源泉と位置づけ、BIM関連製品や自動配筋ソフトのような実績を活かしてさらなる技術投入を進めています。具体的には利用者が意識せずに恩恵を受けられる形でAI機能を組み込む「AIブースト戦略」を推進し、空間自動設計や配管設計の自動化などで職人の暗黙知を数理モデルへ落とし込み可視化・定型化します。加えて内部管理やバックオフィスの整備、監査体制の強化も並行して行い、技術開発と事業運営の両面で持続的な競争力を高めることを目指しています。