テスホールディングスJP:5074

時価総額
¥241.6億
PER
20.1倍
エネルギープラントのEPCと再生可能エネルギー発電所の所有・運営を行う有力企業。オンサイトPPA、O&M、電気小売りを展開。O&M提供数1,033件、継続率94%、供給先51件・57.8MW(2025年6月末)。北海道〜九州の9電力エリアで展開。

事業内容

テスホールディングスは持株会社で、テス・エンジニアリングを中核に再生可能エネルギーと省エネルギー分野で事業を展開しています。同社はエネルギープラントやユーティリティ設備の設計・調達・施工(EPC)を行うエンジニアリング事業と、発電所の所有・運営・売電、オペレーション&メンテナンス(O&M)、電気の小売供給、バイオマス燃料の供給といったエネルギーサプライ事業の二本柱で事業を行っています。

同社の主要顧客は製造業を中心に病院や商業施設など幅広い産業分野で、顧客の環境対策や省エネ、エネルギーコスト削減のニーズに応えています。収益面では、EPCのような案件ごとの受注収入(フロー)と、発電所の売電やO&M、電力小売といった継続的なランニング収入(ストック)の両方を組み合わせた構造になっています。

事業の中身は、省エネルギー向けのコージェネレーションや燃料転換、各種ユーティリティ設備のEPCと、太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギー設備のEPCという二つの技術領域に分かれています。エネルギーサプライ側ではFITやFIPを活用した発電所の保有・運営や、オンサイトでの電力供給(PPA)を展開し、O&Mは約1,033件の提供実績と約94%の継続率、オンサイトPPAの供給先は51件・合計約57.8MW(2025年6月末時点)といった規模で事業を伸ばしています。

経営方針

同社は「TX2030 TESS Transformation 2030」の中期経営計画(2025–2030)に基づき、2030年を目標に高収益化と企業価値向上を目指しています。具体的な数値目標としては、2030年6月期に売上総利益215億円、営業利益134億円、ROE11.7%、ROIC5.7%を掲げており、成長投資と株主還元、ESG経営の推進を重視しています。短中期の目標値としては2027年に売上総利益132億円、営業利益64億円などを設定しており、資本効率(ROE/ROIC)を改善しながらストック型収益の拡大を図る計画です。

同社は重点投資分野として、系統用の大型蓄電所開発、FIT太陽光を市場連動型のプレミアム方式(FIP)へ転換し蓄電池を併設する事業、資源循環型のバイオマス燃料供給、省エネ・再エネソリューション(太陽光やコージェネレーション等)を挙げています。差別化戦略としては、設計・調達・施工(EPC)から運用・保守(O&M)までのワンストップ提供力と、現場の需給管理ノウハウを活かした電力の継続供給サービスを強みにしています。実績面ではO&M約1,033件で継続率約94%、オンサイトPPAは51件・合計約57.8MWの供給実績があり、これらをベースにストック収益を拡充する方針です。

同社は新市場開拓と事業拡大を、国内外で同時に進めています。国内では容量市場や需給調整市場、長期脱炭素電源オークションを活用して系統用蓄電所の累積施工容量を2030年に700MWに拡大する計画や、出力制御が増える九州等でのFIP転換+蓄電池併設を推進します。海外ではインドネシア子会社でのバイオマス燃料の大量生産技術開発や燃料販売を進め、バイオマス燃料供給量を2030年に50万トン/年へ引き上げる目標を掲げています。さらに、顧客のアウトソーシング需要を取り込み、発電所の保有・売電やO&M、需給管理を含むストックビジネスを拡大する方針です。

同社は技術革新に積極的に取り組んでおり、自社のエネルギーマネジメント基盤「TESS WebView」を用いてICTやIoTを活用した最適制御を進めています。再生可能エネルギーの出力制御に対しては自動化・オンライン制御を強化し、蓄電池の充放電最適化や予測精度向上によって市場での付加価値を高める計画です。加えて、バイオマス燃料の低コスト大量生産に向けた研究開発や、燃料転換や燃料供給のための現地調達体制整備、燃料・蓄電・水素・地熱など新領域への技術応用にも投資を行い、人的資源や外部パートナーとも連携して技術基盤の拡張を図っています。