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unerryJP:5034
事業内容
unerryは生活者の位置情報などの実世界データを集めて解析するプラットフォーム「Beacon Bank®」を運営し、リアルな人の動きとデジタルをつなげるサービスを展開しています。同社は取得したデータをAIで解析し、分析・可視化、行動変容、One to Oneの三つのサービスで顧客体験の向上を支援しています。
主な顧客は小売業、商業施設運営、消費財メーカー、自治体などで、店舗運営や販促の意思決定、広告効果の検証に利用されています。収益はクラウド方式の可視化ツールの年間契約による月額課金、広告配信料(定期配信とスポット配信)、システムやアプリ構築の対価と運用・保守料から成り、定期収入を軸にクロスセルで顧客単価を高めるモデルになっています。
事業は分析・可視化の「ショッパーみえーる」、来店促進の「Beacon Bank AD」、個別対応を可能にする「Beacon Bank 1to1」の三本柱で構成されています。可視化で商圏や来店者特性を把握し、広告で行動を促し、顧客データ基盤で一人ひとりに最適な情報を届ける一連の流れを提供します。同社は屋外・屋内をカバーするビーコン網と行動解析のAIを強みとし、これが差別化要因になっています。
経営方針
同社は「unerry, everywhere」を掲げ、2028年6月期に売上高100億円を達成することを中期目標にしています。成長の核はSaaS化による定期収入の拡大とクロスセルで、可視化ツールの年間契約や広告配信料、システム構築・運用料を軸に、リカーリング顧客の売上比率を約90%程度に保つことで安定的な収益基盤を築く方針です。市場機会も大きく、国内のリテールDXは2030年に約8,737億円、リテールメディアは2028年に約1.1兆円、スマートシティは2030年に約6.5兆円と見込まれており、これらを取り込むことが同社の成長ドライバーになります。
重点投資分野はデータの拡充とプラットフォーム強化で、同社は「Data Scaling Law」戦略の下でビーコン網の拡大やデータ幅の拡充に資源を投じます。差別化の源泉は独自特許や独自開発のAI、屋内外をつなぐビーコンプラットフォーム「Beacon Bank®」によるネットワーク効果であり、これを活かしてワンストップで施策を実行できる体制や高いプライバシー対応を前面に出して競合と一線を画しています。具体的にはビーコンの設置拡大、プラットフォーム連携によるID統合、顧客へのワンパッケージ提供といった施策を進めています。
新市場開拓についてはリテールメディアやスマートシティ(都市OS)を軸に事業領域を広げる計画です。自治体や商業施設、大手小売りなどとの連携を深めて街づくりや交通改善に資するソリューション提供を進めるほか、成長性の高いパートナーとの協業を通じて当社だけでは届かない顧客層への接点を拡大します。広告配信やデータ連携の実績を基盤に、新規顧客獲得と収益源の多様化を図り、必要に応じて海外市場への展開も検討していきます。
技術革新では位置情報ビッグデータの高度解析に重点を置き、ユーザの状況推定やペルソナ推定、店舗の混雑予測や来店予測といったAIアルゴリズムの開発を継続します。さらに位置情報と購買データやオンラインデータを掛け合わせて広告効果測定や品揃え予測、キャッシュレス促進などの応用を目指し、特許出願や次世代IoTの研究開発にも投資します。同時に情報セキュリティ強化(ファイアウォール、監視、定期バックアップ)やコーポレートガバナンスの整備を進め、技術と運用の両面で信頼性を高めていきます。