ステムリムJP:4599

時価総額
¥158.4億
PER
再生誘導医薬の新興企業。HMGB1由来ペプチド(レダセムチド)などの再生誘導ペプチドを展開。2014年11月に塩野義製薬にライセンス供与。表皮水疱症で第Ⅱ相追加試験実施中。日本・米国・欧州・中国で後期第Ⅱ相を含む臨床開発。

事業内容

ステムリムは、患者自身の体内にある幹細胞を薬剤で活性化して損傷組織の再生を促す「再生誘導医薬®」の研究開発を行っています。 同社は主にペプチドやタンパク質を基にした医薬候補(例:レダセムチドなど)を開発し、静脈投与や局所投与で幹細胞を動員する治療を目指しています。

同社の主要な取引先は製薬企業や大学・研究機関で、開発段階や商業化権をライセンスするビジネスモデルを採っています。 収益は契約一時金、開発や販売に応じたマイルストーン、上市後のロイヤリティ、共同研究収入やその他一時金などで成り立っています。

同社の事業セグメントは再生誘導医薬のみの単一セグメントで、製品ラインは大きく三つの柱があります。 一つ目がHMGB1由来のペプチド(レダセムチド/TRIM2)等の全身投与型、二つ目がTRIM3/TRIM4などの新規全身投与ペプチド、三つ目が患部に効率よく集積させる局所投与型ペプチド(TRIM5)や幹細胞を用いる遺伝子治療(SR‑GT1)で、各候補は非臨床から臨床第Ⅱ相〜後期まで段階的に進めつつ、適宜製薬会社へのライセンスアウトで事業化を図っています。

経営方針

同社はROAやROEのような数値目標を掲げていないものの、成長戦略の中核に「開発パイプラインの質と量の充実」を据えています。具体的には、主要候補であるレダセムチドをはじめ複数の候補化合物を非臨床から臨床第II相〜後期へ段階的に進めつつ、他適応症への展開や後発パイプラインの探索を通じて企業価値を高めることを目指しています。収益面では、導出先からの契約一時金やマイルストーン、上市後のロイヤリティ、共同研究収入といったライセンスアウト中心の事業モデルで財務リスクを分散する方針です。

同社は重点投資分野として、ペプチドやタンパク質を基盤とした再生誘導医薬の探索・育成、骨髄由来の間葉系幹細胞を標的にする遺伝子治療技術、単一細胞レベルの解析技術の確立を掲げています。差別化策としては、大阪大学との10年以上にわたる共同研究による蓄積データと、候補物質に対する薬効試験や特許出願といった具体的な成果を活用し、既存の細胞治療と異なる「生体内で自己の幹細胞を活性化して再生を促す」低侵襲で安全性の高い手法を強調しています。研究設備の導入や産学連携の強化により、創薬成功確率を高めることも明確な施策です。

新市場開拓と事業拡大については、製薬企業への導出(既に塩野義製薬への導出が完了)を積極的に進める一方で、医師主導治験(大阪大学、弘前大学、新潟大学等)への支援を継続して臨床応用を加速させる方針です。開発リスクの分散策として、非臨床あるいは早期臨床段階に達したプロジェクトは製薬企業との提携や導出で早期に負担を軽減する戦略をとり、さらに公的研究助成金の獲得を積極化して探索研究や初期開発費用を補填する計画です。人材面ではストック・オプション等のインセンティブ制度を用いて優秀な研究者の確保・育成を図っています。

技術革新への取り組みでは、生体組織の網羅的単一細胞機能評価技術を基盤に、第1〜第3世代の再生誘導医薬が各組織に与える遺伝子発現や構造変化をデータベース化することを進めています。これにより創薬候補の安全性・有効性評価を高度化し、将来的には国内外のアカデミアや製薬企業と技術を共有することで開発確率の向上に貢献することを目指しています。また、骨髄間葉系幹細胞を標的とする遺伝子治療や、遺伝性皮膚難病向けの低侵襲サンプリングを用いた根治的治療研究など、具体的な研究テーマに対する投資を継続して行い、細胞治療の「常識を変える」技術開発を推進しています。