キャンバスJP:4575

時価総額
¥160.5億
PER
抗がん剤の基礎研究から臨床開発までの創薬の新興企業。独自の創薬エンジンでCBP501やCBS9106の開発を展開。2025年6月にStemline社とのライセンス契約を解消し権利を回収。日本中心に米国と連携して展開。

事業内容

キャンバスは、抗がん剤の創薬に特化したバイオベンチャーで、自社の創薬基盤(創薬エンジン)を用いて基礎研究から前臨床、早期〜後期の臨床開発まで一貫して進めています。同社は医薬品事業の単一セグメントで、独自の候補化合物を創出して製品化を目指しています。

主要な「顧客」は現時点での最終患者ではなく、収益構造はライセンス契約や共同研究費、投資家や市場からの資金調達に依存しています。開発が進めば製薬企業へのライセンスアウトによるマイルストンやロイヤルティ、将来的な製品販売が収益源となる見込みで、同社は自社開発と戦略提携を使い分けて財務基盤を強化しようとしています。

同社の代表的なパイプラインには、免疫を活性化して「冷たい腫瘍」を攻撃可能にするCBP501があり、膵臓がんを対象とした第2相試験を終えて次相の準備を進めています。かつて外部にライセンスしていたCBS9106は権利が返還され開発方針を再検討中で、ほかにもCBT005、CBP-A08、IDO/TDO阻害剤など前臨床段階の候補を探索・最適化しています。同社は大手CROや大学、科学顧問団と連携して開発を進め、各パイプラインに応じて自社継続か提携かを選択しています。

経営方針

同社は、自社の創薬エンジンを核に基礎研究から臨床開発まで一貫して行うことで、技術と製品の両方を自ら生み出す「創薬企業」としての成長を目指しています。とくにCBP501を最初の上市品と位置づけ、その早期承認と市場投入を中長期の最重要目標としています。現在は膵臓がんを対象とした臨床第2相試験を終え、次相の準備を進めており、事業継続のための現金・預金は2,827,879千円を保有していますが、上市までは外部収益が限定的であるため、資金計画を重視しています。

重点投資分野はCBP501の臨床開発と創薬エンジンの改良充実で、差別化は独自の創薬手法と臨床知見のフィードバックにあります。具体的には、CBP501をシスプラチンおよび免疫を活性化する抗体との併用という組合せで薬効増強のエビデンスを得ており、三剤併用による臨床第2相を完了して次相に進める方針です。同時に、細胞の分裂過程の違いを利用した独自のスクリーニングから得られた候補に加え、がん免疫やがん幹細胞に着目した候補(CBT005、CBP-A08など)を獲得し、これらを競争力の源泉としています。

同社は新市場の開拓や事業拡大を、製薬企業との戦略的提携と権利移転を通じて進めています。最終的な患者向け販売だけでなく、共同研究費や技術供与による収入、ライセンス契約に伴う成功報酬や将来の販売収入を収益源とする計画で、資金需要に応じてプロジェクトごとに提携先を選定します。必要に応じて新株発行などによる資金調達も実行しており、CROや大学、外部の専門家と協働して開発スピードとリスク管理を図っています。

技術革新への取り組みとしては、既存の創薬エンジンをさらに改良し、新規候補の創出・最適化を継続することを掲げています。臨床試験で得られたデータを創薬にフィードバックする仕組みを強化し、従来のスクリーニング手法に加えて免疫や幹細胞に特化した探索を進めることで、次世代のパイプライン構築を目指しています。こうした研究投資と外部評価の活用により、開発リスクの分散と将来の事業継続性の確保を図っています。