NEJP:441A

時価総額
PER
EC向けクラウド(SaaS)サービスの有力企業。ネクストエンジンで契約社数6,570社、利用店舗数53,602店、取引総額1兆1,879億円を扱うシステムを展開。2022年8月にプラットフォーム事業を承継、2024年4月に伝統工芸EC事業を事業譲受。日本全国を展開。

事業内容

NEは、ネットショップを運営する事業者向けに、受注処理や在庫管理などの業務を自動化し、複数の販売チャネルを一元管理できるクラウド型サービス「ネクストエンジン」を開発・提供しています。メール自動対応や在庫同期、商品ページの一括登録など現場の作業を減らす機能を中心に、業務効率の向上を支援しています。

同社の主要顧客は自社サイトや各種モールで複数店舗を運営するEC事業者で、2025年4月期末時点で契約社数は約6,570社、利用店舗数は約53,602店に上ります。収益はネクストエンジンの基本料金(受注件数に応じた従量課金)を柱に、アプリの定額課金やECコンサルティング、地方自治体向けのふるさと納税支援の手数料、伝統工芸品の自社EC販売など複数の収入源で成り立っています。

同社の事業は大きくネクストエンジン事業、コンサルティング事業、ロカルコ事業の三本柱です。ネクストエンジン事業では自社開発と外部連携の仕組みでプラットフォーム化を進め、コンサルティング事業では出店支援や運営代行、広告運用などで売上拡大を支援し、ロカルコ事業では自治体向けのふるさと納税支援と伝統工芸品のEC販売を通じて地方創生に取り組んでいます。

経営方針

同社は中期的に「ネクストエンジン」を軸に持続的な成長を目指しており、主要なKPIを従来の総契約社数から「ARPU(1契約あたりの月間売上)」の向上へとシフトしています。直近では2025年4月期末で約6,570社、利用店舗数は約53,602店まで拡大しており、BtoC向けEC市場が15兆2,194億円(2024年)と依然成長余地があることを背景に、売上高・営業利益・EBITDAといった財務指標の改善を通じて業績拡大を図る方針です。ARPUはネクストエンジンに紐づく月次総売上を契約社数で割って算出する指標で、同社はこの数値の引き上げを成長の現実的な目標と位置づけています。

重点投資分野はソフトウェア開発と顧客支援の両面にあります。具体的には顧客ごとの要望に合わせた受託アプリ開発「ネクストエンジンオーダーメイド」を強化し、有料アプリや付帯サービスによる課金を拡大することでARPUの押し上げを図っています。併せてコンサルティング機能をTier別に細分化して売上拡大を直接支援する体制を整備し、顧客の受注処理件数増加と連動してプラットフォーム収益を高める差別化戦略を取っています。顧客満足度維持のため、コールセンターの外部委託と自社サポートの強化で解約率を低減する施策も継続しています。

新市場や事業拡大については、小規模事業者の取り込みとグローバル展開を両輪で進めています。基本料金引き下げ(2023年6月実施)で小規模顧客が増加した状況を踏まえ、無料アカウント発行やプロモーションで導入窓口を広げつつ、コンサルティングとネクストエンジンを連携させることでフロント(売上拡大)とバックエンド(業務効率化)の双方で顧客を長期伴走させる「好循環なビジネス構造」を目指しています。加えて2024年4月に取得した伝統工芸品のEC事業を起点に、BtoB卸売を含む「グローカル・コマースプラットフォーム」の構築を視野に入れ、日本の伝統品や食品の販売基盤を活かしつつ海外展開の可能性も探ります。

技術革新では業務自動化と外部連携を最優先で推進しています。AI連携機能の実装によりメール対応や在庫同期などの自動化領域を拡大し、現場の作業負担を軽減してユーザーが販促に注力できる環境を作ることで受注件数とアプリ収益の双方からARPUを高める計画です。またAPIを豊富に開発して他社サービスとの連携幅を広げることで利便性を向上させ、エコシステムを強化することでプラットフォームの競争力を高めていきます。これら技術投資は有料機能の拡充と顧客維持につながる施策として明確に位置づけられています。