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マリオンJP:3494
事業内容
マリオンは、首都圏を中心に全国の主要都市で居住者向け、特に単身世帯向けの賃貸不動産を所有・運営しています。同社はこれらの賃料を原資とした不動産証券化商品を投資家向けに組成・販売し、マリオンボンド、サラリーマンボンド、i-Bondといったインターネット経由のクラウドファンディング商品を提供しています。
同社の主要顧客は居住者に加え、地方公共団体の東京事務所等であり、首都圏の保有751戸のうち271戸(36.1%)をこうした公的需要に賃貸して安定的な賃料収入を確保しています。収益構造は賃料収入が基盤で、その一部を投資家と配分する不動産証券化による投資家還元が中心となり、匿名組合預り金残高は4,953百万円(総負債の35.3%)と資金調達手段としても役立っています。
事業は不動産賃貸関連サービスの単一セグメントで、賃貸不動産の仕入れ、保有中の賃料獲得と証券化による配分、及び満期対応や収益実現のための売却といったライフサイクルを通じた一連のサービスを行っています。賃貸サービスは長期所有の直接賃貸、当社が一括借り上げて転貸するマスターリース・サブリース、オーナー向けのプロパティマネジメント受託の三本柱であり、i-Bondのトークン化対応など販売手法の拡充にも取り組んでいます。
経営方針
同社は、賃貸不動産事業と不動産証券化商品の組成・販売を両輪として、安定的な成長を目指しています。売上高に対する経常利益率の水準とその推移、並びに入居率の維持・改善を重要指標とし、賃料収入を着実な収益の基盤とする戦略です。現有の賃貸戸数は主要都市を中心に保有751戸のうち271戸(36.1%)を地方公共団体等に賃貸しており、公的需要に支えられた安定収入と、匿名組合預り金残高4,953百万円(総負債の35.3%)といった投資家資金を資金調達手段として活用することで、収益の安定化を図っています。
重点投資分野は居住者向け、特に単身世帯向けの賃貸不動産であり、同社はここに競争優位性を置いています。賃貸物件の品質維持として計画的な修繕や入居者ニーズに合わせた設備導入、さらには一括借り上げ・サブリースやプロパティマネジメント受託による運用力を強化する具体策を実行しています。首都圏での利回り低下を踏まえ、仕入れは慎重に行い、首都圏以外の政令指定都市での仕入れ機会を追求することで収益性とリスクのバランスを取る差別化を図っています。
新市場開拓や事業拡大では、不動産証券化サービスの拡充とクラウド型販売の拡大を推進しています。投資家からの直接調達を活用することで、金融機関の融資姿勢が厳しい局面でも賃貸不動産の取得を可能にし、新規の証券化案件の組成につなげる計画です。また、市況に応じた所有物件の売却による含み益の確定や、ポートフォリオの入れ替えを通じた投資収益の最大化を目指しており、資金調達基盤の多様化(金融機関と匿名組合出資の両輪)を図ることも明確な方針としています。
技術革新への取り組みとしては、販売・運用のデジタル化と情報開示の強化を進めています。i-Bondをはじめとする不動産証券化商品の申し込みから契約までをウェブで完結させる仕組みを整備し、対象不動産の入居状況を月次で開示する投資家向け検索機能を提供、当該システムは特許(特許第5831989号)を取得しています。さらに、2024年11月の法改正で可能となったブロックチェーンを用いた証券化(トークン化)への対応を進めており、電子取引許可の下でセキュリティトークンの発行を視野に入れたシステム強化とコンプライアンス体制の整備を行い、投資家利便性と信頼性の向上を図っています。