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ジェイテックコーポレーションJP:3446
事業内容
ジェイテックコーポレーションは、大学や研究機関と連携して独自技術を製品化することで、精密光学部品やライフサイエンス向けの自動化装置、分析機器を設計・製造・販売しています。同社の主力はナノレベルの表面精度を実現するX線ミラー(商標名「OsakaMirror」)と、創薬や再生医療向けの自動細胞培養装置です。
顧客は主に国立研究機関や大学の研究者、企業で、事業ごとに収益構造が異なります。オプティカル事業は公的研究機関が売上の約81.8%を占める一方で、ライフサイエンス・機器開発事業やその他事業は企業向けがそれぞれ約83.7%/97.4%を占めており、研究用途中心と産業用途中心で収益源を分けています。
同社は「オプティカル事業」「ライフサイエンス・機器開発事業」「その他事業(子会社による分析装置)」の三本柱で展開しています。オプティカル事業では放射光施設向けの高精度ミラーや回折格子などを提供し、ライフサイエンスでは大型自動培養装置や低コストの汎用培養装置、三次元培養技術を製品化、その他事業では昇温脱離分析装置(TDS)などを中心に新製品投入や生産効率向上で受注拡大を図っています。
経営方針
同社は「Innovation2030」として10〜20年先を見据えた長期成長戦略を掲げ、企業価値の最大化を目指しています。短期的には個人投資家向けのIR動画配信や情報開示の強化を進め、株価や市場評価の向上につなげる方針です。組織面では2025年7月に役割等級を導入する新人事制度で人的資本の強化を図り、さらに2026年7月にクラウド型基幹システムを導入して業務の見える化と効率化を進めるなど、成長を支える経営基盤整備を具体的に進めています。
重点投資分野はオプティカル事業とライフサイエンス・機器開発事業、並びに子会社を含む分析装置事業の三本柱です。オプティカル事業は放射光施設向けの高精度ミラーが強みで、売上の約81.8%が公的研究機関からの受注である一方、ライフサイエンスやその他事業は企業向けが中心(それぞれ約83.7%/97.4%)で収益基盤が分散しています。同社は大学や研究機関との共同研究を通じてナノレベルの表面精度を実現する技術を製品化しており、プラズマを用いる研磨や電気化学的研磨など独自プロセスを実装して差別化を図っています(実績としてプラズマ援用研磨装置を2台受注)。
新市場開拓と事業拡大では、半導体や宇宙分野への展開を一段と推進しています。放射光向けにはSPring-8やSACLA、海外ではLCLSやEu‑XFELなど実績があり、半導体分野では中国・台湾をはじめ海外市場での商談が増加しているため、現地での保守・サービス体制や販売パートナーの育成を強化します。既に子会社で初めて中国企業向けの納入実績を得ており、多言語対応のカタログ整備やSEMICONなど専門展示会での営業強化を通じて受注拡大を目指しています。また生産面では外注先の拡充や場合によっては内製化を進め、刻線や成膜などでのリードタイム短縮に取り組んでいます。
技術革新への取り組みは同社の中核であり、大学との連携による新規プロセスの工業化を積極的に進めています。半導体ウェハ向けには次世代材料(GaN、Ga2O3、ダイヤモンド等)への対応を大学と共同で進め、ライフサイエンス分野ではAMEDのプロジェクトで単核球分離装置の実用化や創薬向け自動培養装置の改良を加速しています。これらを支えるために人材採用と設備投資を拡大し、研究開発と製造装置の機能向上により「他社では実現できない精度と新規性」を実現することを目指しています。