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山王JP:3441
事業内容
株式会社山王は、電子部品の精密加工を主力とするメーカーです。同社はコネクタやスイッチ向けの金型設計・精密プレス加工、貴金属を用いた表面処理(めっき)、およびプラスチックのインサート成形を一貫して行っています。これにより顧客の求める品質・価格・納期に応えています。
主要顧客はコネクタメーカーや電子機器メーカーで、パソコン、携帯端末、自動車、デジタル家電、産業機器、ゲーム機器、カード端末、通信機器など幅広い用途向けの部品を納めています。受注生産が中心で、金型設計から加工・表面処理までの工程を通じて部品を供給することが同社の収益の基盤になっています。
事業は精密プレス加工、表面処理加工、インサート成形の三つの工程に分かれ、日本とフィリピンに生産拠点を持っています。精密プレスでは薄物・微細ピッチの部品製作、表面処理では高速めっきや環境対応のはんだめっき、インサート成形では金型設計から量産までの一貫対応で高付加価値製品を提供しています。
経営方針
同社は中長期的な成長に向け、受注拡大と収益改善を最優先に据えています。具体的には連結売上高10,900百万円、営業利益500百万円、経常利益490百万円の達成を目標とし、そのために生産設備の拡充、工場増強、働く環境の整備、人事・教育の強化を同時並行で進めています。受注生産を基盤とする事業特性を活かし、顧客ニーズの徹底した把握と短納期対応の強化で売上を伸ばす計画です。
重点的に投資する分野は自動車向け、通信向け(次世代高速通信)、産業機器向けの三領域です。加工難易度の高い薄物・微細ピッチ部品に対応する精密プレス装置や、高速で環境対応型のめっきライン、金型設計から量産まで一貫して行う樹脂のインサート成形設備への投資を進め、製品の高付加価値化で差別化を図っています。設計から表面処理まで社内で完結できる体制は、品質と納期での優位性を生み出す具体的な武器です。
新市場の開拓では、電気自動車や運転支援機能向け部品、5Gや次世代通信機器、産業用ロボット・制御機器向け部品での受注拡大を狙っています。フィリピンを含む既存拠点の生産能力を段階的に引き上げるとともに、マーケティング強化や主要顧客との共同開発を通じて新規分野の製品化を加速し、売上目標の達成につなげる方針です。
技術革新では生産性向上と環境対応を両輪で進めています。2023年度に東北事業部へ太陽光パネルと蓄電池を導入しエネルギーマネジメントシステムを稼働させ、同事業部で再生可能エネルギー100%を達成したほか、GHGプロトコルに基づくScope1・2の算定を完了、2017年比で2030年までにCO₂排出量を50%削減する目標を前倒しで達成しました。現在はScope3の算定を開始し、工程の自動化や不良低減による材料・エネルギー使用の削減と合わせて、技術面での差別化と持続可能性の両立を進めています。