TalentXJP:330A

時価総額
¥47.6億
PER
20.4倍
採用DXプラットフォーム事業の有力企業。リファラルSaaS「MyRefer」(2015年10月)、採用MA「MyTalent」(2022年2月)、採用ブランディング「MyBrand」(2024年1月)を展開。累計導入1,000社以上、時価総額TOP50の40%超企業に導入。国内中心に展開。

事業内容

TalentXは「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」を掲げ、大企業や成長企業向けに採用のDX化を支援するSaaS型の採用DXプラットフォームを提供しています。同社は従業員のネットワークを活用するリファラル採用のMyRefer、応募者を資産化してAIで狙い撃ちするMyTalent、ノーコードで自社の採用メディアを作るMyBrandなどを主力製品として、企業の自社採用比率向上を目指しています。

同社の顧客は従業員数1,000名以上の大手企業が多く、東京証券取引所プライム市場の時価総額上位企業の大部分で採用マーケティングを支援しています。収益は月額課金によるストック型が中心で、売上の約94%が継続収入で成り立っています。主力のMyRefer関連が収益の約7割を占め、低い解約率とクロスセルで年々契約売上高を伸ばしています。

各サービスは利用形態に応じた月額課金で、MyReferは従業員数ベース、MyTalentは候補者登録数ベース、MyBrandは機能に応じた料金体系を採用しています。同社はこれらを共通基盤で連携させるコンパウンドSaaSとして運営し、複数導入によるアップセル・クロスセルで顧客一件あたりの売上を高めています。データ蓄積とネットワーク効果により、採用マーケティングを一気通貫で支える点が競争上の強みになっています。

経営方針

同社は、持続可能な成長を中長期の目標としており、売上成長と利益率の両立を重視する「Rule of 40」を予算検討の主要指標に据えています。主要指標として売上高、MRRを基に算出するARR、サブスクリプション比率や1社当たりの月額収益(ARPA)を設定しており、現在は売上の約94%が継続収入で構成されています。主力のMyReferが売上の約7割を占め、解約率は1%未満と低水準にありますが、導入企業は大企業約4,000社のうち約200社にとどまるため、約95%に新規獲得余地があることを踏まえ、顧客数とARPAの両面で成長を図る計画です。

同社は製品開発と営業体制に重点投資を行っており、採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」の機能拡充を進めています。具体的にはリファラルのMyRefer、応募者管理のMyTalent、採用ブランディングのMyBrandに加え、従業員向けマーケティングモジュールなどを追加し、複数モジュールの組合せによるアップセル・クロスセルで顧客一件当たりの売上を高める方針です。営業面では広告費に依存しない効率的な獲得チャネルを構築しており、新規売上獲得に占めるマーケティングコストは概ね10%程度に抑えられているため、営業人員の増強で効率的に顧客基盤を拡大します。

同社は新市場開拓として、大手企業向けのコア市場(約650億円)に加え、中小企業まで含めた場合の可処分市場(約1,661億円)へ展開を想定しています。販売チャネルはインバウンドやアウトバウンド、自社開催イベントが主要で(直近はインバウンド約25%、アウトバウンド約34.7%、自社イベント約22.2%)、これらを強化しつつ、既存顧客のカバレッジ率48%を高めることでクロスセル余地(現在2モジュール以上利用は15%、3モジュール以上は3%)を取り込みます。さらに、ストック型収益に加えて採用戦略のコンサルティングや成果報酬型事業を拡充し、安定性と成長性を補完する事業ポートフォリオを構築する方針です。

同社は技術革新を成長の核と位置づけ、人工知能(AI)による業務自動化に取り組んでいます。すでにMyReferでは社内広報の自動化機能、MyTalentでは応募意欲の高い候補者の自動提示機能をリリースしており、今後は従業員のリファラルネットワーク可視化や候補者スカウトの自動化などを開発予定です。これにより営業や人的サポートの生産性を高めるとともに、個々の候補者に合わせた体験を提供して採用成功率を向上させ、外部パートナーとの連携で採用マーケティングのエコシステム化も進めていきます。情報管理面でもプライバシーマーク取得などを通じてセキュリティ強化を継続しています。