アーバネットコーポレーションJP:3242

時価総額
¥221.6億
PER
11.2倍
投資用ワンルーム主体の不動産開発販売の有力企業。デザイン性を備えた都市型賃貸マンションや48室の自社保有ホテルを展開。2015年3月の100%子会社設立、2020年10月のホテル開業、2024年2月のケーナイン子会社化。東京23区内の駅徒歩10分圏中心に展開。

事業内容

アーバネットコーポレーションは、東京23区の駅徒歩10分圏内を中心に投資用ワンルームマンションの開発・一棟販売を軸とし、分譲マンションや戸建、アパートの開発・分譲、賃貸や仲介までを手掛ける総合不動産事業を展開しています。同社は設計事務所出身のノウハウを生かし、外観や共有部にデザインやアートを取り入れるなど、独自ブランドのものづくりに注力しています。

同社の主要な顧客は、ワンルーム販売会社への専有卸のほか、国内外の投資家や法人、相続対策を目的とする富裕層など多様です。加えて、自社保有の賃貸物件やホテル運営からの賃料収入を固定収入源とし、少人数体制と外部委託を活用することでコスト効率と収益の安定化を図っています。

事業は大きく不動産開発販売、仕入販売、仲介・賃貸管理、そしてホテル事業の四分野で構成されています。グループでは2015年に小売・管理・ホテル運営向けの子会社を設立し、2024年には戸建・テラスハウスや首都圏南部でのアパート開発を担う会社を子会社化して事業領域を拡大しました。また、従来の投資用ワンルームに加え、共働き夫婦向けやファミリー向けを組み込んだ複合型都市型マンションの開発も進めています。

経営方針

アーバネットコーポレーションは、成長戦略の中心を東京23区の駅徒歩10分圏内を主軸とした都市型賃貸マンションの開発・一棟販売に置いています。同社は売上総利益率を重視し、安定的な収益確保と持続的な企業価値向上を目指しています。事業ポートフォリオの多角化にも取り組んでおり、ホテル事業は2020年10月から自社保有で運営を開始しており、インバウンドや国内旅行需要の回復を背景に客室稼働率と客室単価の向上で収益最大化を図る方針です。また、M&Aを活用した事業拡大を掲げ、外部資本や共同事業も積極的に活用していきます。

重点投資分野では、設計事務所出身のノウハウを生かしたデザイン重視のものづくりで差別化を図っています。外観やエントランス、共有部にアートやデザインを取り入れることで購入者と居住者双方の満足度を高め、都心好立地物件の価値を維持します。一方で用地取得競争や建設資材・人件費の高騰に直面しているため、優秀な仕入れ人員の採用や若手育成、都心の権利関係の分析・調整を強化して収益性の確保に努めています。少人数体制と外部委託を組み合わせることでコスト効率の向上にも取り組んでいます。

新市場開拓と事業拡大では、従来のマンション販売会社向け卸売に加え、国内外の投資家や法人、相続対策を目的とする富裕層、社宅や寮を求める企業、シルバー層向け住居の運営業者など販売先の多様化を進めています。事業領域の拡大策としては、2024年2月に戸建・テラスハウス分譲や首都圏南部のアパート開発を担う企業を子会社化しており、北海道など観光需要の高い地域での宿泊施設開発にも着手する計画です。財務面では、過去に公募増資や新株予約権の発行、シンジケートローンを活用して財務基盤を強化してきた経験を踏まえ、引き続き健全なキャッシュポジションの確保を優先します。

技術革新については、用地情報の収集・分析をデジタル化して意思決定のスピードと精度を高める取り組みを進めています。設計面でも三次元設計や設計・施工の標準化により工期短縮と工事原価の抑制を目指し、建物性能や省エネルギー設備、居住者向けの利便性向上(見守り機能や省エネ機器導入など)を導入して物件価値を高めます。併せてコンプライアンス強化やコーポレートガバナンスの整備、人材投資(新人事制度による賃金改定、従業員向け株式給付信託、住宅補助や育児・介護休暇の拡充)を進め、技術と組織の両面で持続的成長の基盤を固めようとしています。