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技術承継機構JP:319A
事業内容
技術承継機構は、技術や技能を持つ中小製造業や関連事業を継続的に譲り受け、その経営支援を行う会社です。同社は、買収した企業の事業立て直しや人材・ITの整備を通じて技術継承を図り、基本的に買収先を長期保有して育てることを方針としています。
主要な顧客は譲受先の中小製造業およびそれらの製品を扱う取引先で、同社の収益は主に譲受企業から生まれる事業利益に依存しています。加えて、譲受候補の紹介に伴う手数料や、譲受後に行う経営支援に対する支援料も収益に含まれ、得られたキャッシュで更なる買収を進めます。
事業の構成は特定分野に偏らず、幅広い製造業に分散しており業界変動の影響を抑える設計です。具体的には役員派遣や人材育成、IT導入などで各社のバリューアップを図り、開発から販売までグループ内で相乗効果を生む運営を行っています。同社は創業以来、現時点で10社を譲受し、多様化と成長の両立を目指しています。
経営方針
同社は中小製造業の継続的な譲受による事業拡大を成長戦略の中核に据えており、長期保有で育てる「連続買収企業(シリアルアクワイアラー)」を目指しています。創業から2024年12月までに外部アドバイザー350社超から累計1,717件の案件紹介を受け、そのうち現時点で10社の譲受を完了しています。業績面では、調整後EBITDA(営業利益に減価償却費など一時費用を加えた指標)が2024年12月期に2,155百万円、調整後当期純利益が1,042百万円となり前年から約27%の増加を果たしました。財務戦略としては純有利子負債/調整後EBITDAを3〜4倍程度に維持することを想定し、金融機関と長期・低金利、原則的に財務制約の少ない条件での資金調達を目指しています。
同社は投資対象を製造業に明確に絞ることで差別化を図っており、売上高比で利益率の高い黒字企業を適切な企業価値で譲受する方針を取っています。買収の強みは、自社内に蓄積したM&A遂行力と仕組み化されたプロセスにあり、初期リサーチから価値評価、交渉、銀行での資金組成まで内製で対応できる体制を整えています。売り手に対してはオーナーの社長続投希望や自主独立性の尊重など価格以外の提案で訴求し、結果的に適切なEBITDA倍率での譲受を実現する交渉力を持っています。また、案件の選別ではリスクの高い赤字再生案件を避け、実績ある企業の買収と実務マニュアル化による効率化で競争力を高めています。
同社は譲受後の成長実現を重視しており、導入から半年、半年〜2年、3年目以降という段階に応じた実行計画を採用しています。導入直後は全社員面談や管理体制の強化、ITツールの導入で現状把握と基盤整備を行い、その後は事業計画に沿った営業強化や製造現場の改善、人材採用の強化を推進します。中長期では海外展開や他社連携を含む事業拡大も視野に入れており、上場後は市場からの資金を活用してよりEBITDA規模の大きな企業の譲受も検討しています。グループ間では顧客紹介や仕入先共有、機械販売など具体的なシナジー創出を進めています。
技術革新への取り組みは同社のバリューアップの要であり、NGTG Growth Program(NGP)という140項目以上の改善マニュアルを週次で更新し、全社で共有して実行しています。具体策としてはウェブサイト刷新や営業戦略での新規顧客獲得、外注の内製化による利益率改善、SaaS等のITツール導入、AIを用いた画像検査やIoTによる現場管理システムの導入、3D CAD の技術研修などを挙げており、月次の社長会や合宿形式の社長大学などでノウハウを交換しています。これらにより誰が担当しても成果が出せる仕組み化を進め、調整後EBITDAや調整後当期純利益といった客観的指標で成長をモニタリングしています。