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フォルシアJP:304A
事業内容
フォルシアはデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、独自の検索技術を核にシステム開発やサービス提供、コンサルティングを行っています。同社は膨大で複雑なデータを高速に扱う技術基盤「Spook」を活用し、主に旅行や流通分野の予約・販売サイトの利便性向上に貢献しています。近年は検索技術にとどまらず、DX領域で顧客の業務変革を支援しています。
主要顧客は大手旅行会社や旅行商品を扱う事業者、専門商社、それに取引先となるメーカー・小売業などで、特に旅行・観光業界に強みがあります。同社の収益は、個別要件に対応するソリューション型(開発費・運用保守・使用許諾費)と、複数顧客向けのSaaS型(初期設定費・月額利用料・カスタマイズ費)の二本柱で成り立っています。SaaSは長期利用を前提に安定的な売上につながる契約を多く確保しています。
事業は単一セグメントのデジタルビジネスプラットフォームで、製品ラインはSpookを用いるソリューション型と、旅行向け販売プラットフォーム「webコネクト」、商品データ整備ツール「Masstery」、広告運用支援などのSaaS型サービスに分かれます。同社はwebコネクトで在庫・料金のリアルタイム処理や複数チャネル連携、ダイナミックプライシング対応を行い、Massteryで商品データの自動整備により運用効率を高めています。これらを組み合わせて顧客ごとのカスタマイズにも柔軟に対応し、長期的なパートナーシップを築いています。
経営方針
同社は既存顧客の深耕と新規顧客の獲得、そして最終的なマーケットプレイス化を柱とした成長戦略を掲げています。売上高と売上高営業利益率を主要な評価指標とし、重要なKPIにSaaS型サービス「webコネクト」の累計顧客数を設定しています。現状、webコネクトは20社超へ導入され、接続している旅行・観光施設は延べ1万2,000施設を超えており、この基盤を足場に収益と顧客基盤の拡大を図ることを同社は目指しています。
同社は技術基盤「Spook」を中核に、検索技術を強みとしたハイブリッド型のサービスへ重点投資しています。Spookは複雑な在庫や条件を高速に処理できる点で大手旅行会社でも高い採用実績があり(主要10社のうち8社に導入実績)、リアルタイムの在庫管理やダイナミックプライシング対応といった機能で差別化を図っています。加えて、webコネクトや商品データ整備ツール(Masstery)を組み合わせることで、個別開発と標準サービスの両方から安定した収益を確保することを同社は目指しています。
同社は事業拡大の次のステップとして、公共交通・地方自治体・DMOや福利厚生事業者、クレジット会社、さらには訪日客向けの海外旅行会社(アジアや欧米)といった新規参入プレーヤーへの展開を加速しています。複数の交通手段をシームレスに連携するMaaS的な需要やインバウンド回復を追い風に、webコネクトを通じて新規事業者の市場参入を支援し、最終的にセラーとサプライヤーを結ぶ「n対n」のマーケットプレイスを構築して取引の多様化と流通量拡大を目指しています。
同社は技術革新を持続可能な競争力の源泉と位置づけ、開発で蓄積した資産の再利用や機能の継続的追加を通じたリカーリング型の事業モデルを推進しています。第24期では予約・決済・電子クーポンなど検索以外の周辺機能を順次実装し、今後も優秀なエンジニアの採用・育成や外部パートナーとの協業で開発体制を強化するとともに、負債ゼロで手元資金を確保し上場による資本増強も行ってきた財務基盤を背景に、技術投資とガバナンス強化の両面で持続的成長を目指しています。