オカムラ食品工業JP:2938

時価総額
¥525.6億
PER
20.3倍
サーモン中心の養殖・国内外加工・海外卸売の有力企業。川上から川下までの垂直統合モデルで生食用サーモントラウトやイクラ等を加工・販売。2017年6月の日本養殖会社設立、2017年9月のミャンマー子会社設立。日本・欧州・東南アジア中心に展開。

事業内容

オカムラ食品工業は、サーモンを中心に養殖から国内外での加工・販売まで手がける水産食品の総合業者です。同社は「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける」を掲げ、養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つを柱に垂直統合で事業を展開しています。

主要な顧客は国内のスーパーマーケットや外食チェーン、アジアやヨーロッパ向けの輸出先、そして海外の現地販売拠点を通じた日系小売・外食店などで、これらへの生鮮原料や加工品の販売が収益の大きな柱になっています。同社は自社養殖と世界各地からの原料調達を組み合わせ、付加価値の高い加工品をタイムリーに供給することで、自己資本利益率や売上高営業利益率が上場会社平均を上回る実績を示しています。

事業の中身は明確に分かれており、養殖事業では海外の養殖拠点で年約3,500トンのサーモントラウトを生産し、日本の青森でも孵化から養殖まで一貫生産を行っています。同社は一部でASC認証を取得し持続可能性を意識した養殖に取り組んでいます。加工・販売面では、青森の工場で数の子、たらこ、イクラや養殖サーモンを加工し、海外ではミャンマーやベトナムの拠点で寿司ネタや加熱済みの魚製品を製造、シンガポール・マレーシア・台湾・タイの販売拠点を通じて日本食材を現地の日系小売店やレストランに供給しています。

経営方針

同社は「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける」を掲げ、養殖事業、国内加工、海外加工、海外卸売の四本柱で成長を目指しています。特に養殖事業と海外卸売事業を成長のエンジンと位置づけ、国内養殖量を拡大することで原料調達の安定化と利益率向上を図っています。具体的には国内養殖量を2025年4–7月の3,476トンを起点に順次拡大する計画を示しており、海外拠点では年約3,500トンの生産実績を有するなど、量的拡大が中長期的な経営目標になっています。

重点投資分野は養殖設備と物流・保管インフラで、差別化の核は垂直統合による供給の確保と品質管理です。屋外循環式の大規模中間育成システムや給餌用バージ船の導入で生産効率を高め、デンマークの子会社Musholm A/Sが保有する養殖技術を国内に展開して効率化を図っています。一方でシンガポールの-60℃の超低温倉庫や、マレーシアで2024年1月に稼働したハラール対応倉庫など、冷蔵・冷凍物流に重点投資してコールドチェーンを強化し、鮮度とトレーサビリティで他社と差別化しています。

海外市場開拓ではアジアを中心に販売網を広げる計画で、すでにシンガポール、マレーシア、台湾、タイに子会社を持ち、今後も進出先を増やす方針です。現地の小売・外食チェーン向けに日本食材を供給することで需要増に対応し、顧客ごとのニーズに合わせた加工品やサービス開発を進めています。販売拠点・倉庫・配送能力への追加投資を通じて営業基盤を強化し、ハラール商品の充実や現地物流の迅速化で市場シェア拡大を狙っています。

技術革新への取り組みは生産効率と持続可能性の両面に向けられており、増肉係数の改善や低魚粉飼料の導入などで環境負荷を抑えつつ収益性を高めることを目指しています。品質管理体制の強化や業務フローの標準化、ASC・MSC認証原料の活用といった取り組みも進めており、同社は先進的な養殖技術の導入と冷凍・保管技術の投資によって、安定供給と高付加価値化を両立することを目指しています。