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Terra DroneJP:278A
事業内容
Terra Droneは、産業用ドローンのハード・ソフト・サービスを組み合わせたソリューションを手がけています。測量や点検、農業向けの現場データ取得から解析・納品までを一貫して行い、低空域の運航管理(UTM)も含めたプラットフォーム化を進めています。
主要顧客は建設会社、電力会社、石油・ガスや化学メーカー、政府機関、農業事業者など多岐にわたります。同社はドローン本体や自社開発機器の販売に加え、クラウド解析やソフトのライセンス、測量・点検・農薬散布といったサービス収入、さらにUTMの導入費や年間ライセンス、飛行回数に応じた従量課金などで収益を得ています。
事業は「ドローンソリューション」と「運航管理(UTM)」の二本柱です。ドローンソリューションではTerra LidarやTerra Cloudによる測量、Terra UTによる非破壊点検、農薬・肥料散布サービスなどを提供しています。運航管理ではUniflyなどのUTM技術を活用して空域の運航管理を進め、国内外での実装と収益化を図っています。
経営方針
同社は低空域経済圏の構築とエアモビリティ領域でのグローバルなプラットフォーマー化を中長期目標に掲げており、ドローンソリューションと運航管理(UTM)の二本柱で成長を目指しています。実績としては直近期に売上高が前年比で約50%成長した一方で、事業拡大に伴う先行投資が影響し2期連続で当期純損失を計上しており、同社は売上高、営業利益、調整後営業利益を主要KPIに設定して黒字化を目指しています。調整後営業利益には国内UTM事業の補助金を含めて収益性を管理しており、2030年以降には空飛ぶクルマ(eVTOL)向けの航空管制システムからの収益をアップサイドとして見込んでいます。
同社は測量、点検、農業といった現場サービスに加え、自社開発の機体や専用ハード、クラウド解析・ソフトのライセンスを組み合わせた「ワンストップ」提供で差別化を図っています。具体的にはTerra LidarやTerra Cloud、Terra UTといった解析インフラの整備、点検向けハードウェア販売やFPSO案件獲得の推進、農薬散布サービスのキャパシティ増強などを通じてサービス収益比率を高める施策を進めています。また、技術・販路・人脈を獲得するためのM&Aや段階出資を活用する「テラ群戦略」により、地域とソリューションの組合せで迅速に事業展開する方針です。
新市場開拓では、欧州のU‑Space規制や各国のUTM導入計画を追い風に、UTMの提供地域拡大と従量課金や年間ライセンスといった収益化を狙っています。国外向けには2024年4月にUnifly、Aloftと共同で空飛ぶクルマ向け運航管理システム開発に着手しており、欧州・米州・中東・アジアをターゲットにグローバル展開を図る計画です。農業分野では2023年の事業譲受による参入後、インドネシアやマレーシアで拠点整備とドローン調達を進め、サービス面積拡大と顧客獲得で当面は高い成長率を見込んでいます。
技術革新への取り組みとしては、UTMとドローン運用を統合するプラットフォーム開発に注力し、低空域の安全性を高めるためのソフトウェア開発、データ解析、自動化の投資を継続しています。空飛ぶクルマを含む将来の高度な運航管理に対応できる技術標準の確立を目指し、国内外の規制や運用実績に基づいた実証、パートナー連携による共同開発を進めています。同社は同時に優秀な人材確保・育成や内部管理体制強化にも投資し、技術・事業両面での実装力を高めることで収益性改善を図っています。