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タイミーJP:215A
事業内容
タイミーは、短時間の単発アルバイトに特化したマッチングアプリを運営しています。働き手は履歴書や面接なしで最短1時間から働け、勤務終了後すぐに報酬を受け取れる即日入金の仕組みを提供しています。
主要な顧客は物流・飲食・小売を中心とした事業所で、近年はホテル・宿泊業でも利用が増えています。同社の収益は雇用主が支払う手数料が中心で、原則として働き手に支払われる賃金等の合計の約30%を成果報酬型で受け取っています。事業所は初期費用や掲載料なしで最短1時間の求人を出せ、同社が賃金を立替えて支払うため請求は月末締め翌月末払いで一括精算できます。
事業は一つのプラットフォームに集約されており、本人確認や求人の事前チェック、QRコードによる出退勤管理、相互レビューやペナルティ制度など労務管理機能を提供しています。専任の担当者が主要顧客を支援し、実績ある働き手を優先表示するなどリピーター採用を促進する仕組みを整えています。ネットワーク効果と継続利用により流通総額の安定化が進み、ストック性の高いビジネスモデルを構築しています。
経営方針
同社は流通総額の拡大を通じて売上成長を目指しています。理由は収益モデルが成果報酬型で、ワーカーに支払われる賃金等の合計に対して約30%(2024年10月期平均手数料率29.6%)を手数料として受領する構造だからです。実績面では、2024年10月期通期の流通総額は90,779百万円(約908億円)に達し、登録ワーカー数は約960万人(表記:9,595千人)、累積アクティブワーカーは約138万人(1,382千人)、登録クライアント事業所は約31.6万拠点(316千拠点)、アクティブアカウントは約65万(649千)といった主要指標を重視しており、これらの拡大が売上成長に直結すると位置付けています。
同社は重点投資分野として、既存のエンタープライズ企業との利用浸透、認知拡大のための広告投資、そしてプロダクト開発を挙げています。具体策としては、企業内での事業所横展開や事業所ごとの募集人数増加を狙う営業強化、テレビCMやデジタル広告を活用したマーケティング、コアワーカー(1カ月あたり8回以上就業する層)を狙った獲得施策による広告効率改善などを進めています。差別化は即日入金や勤務実績に基づくメンバーシップ、バッジや優先表示、ワーカープールの可視化といった再利用性・信頼性を高める機能で図り、同時に公的書類の必須化や求人事前チェック、相互レビューやペナルティ制度などでプラットフォームの健全性を担保します。
同社は他業界・他地域・海外への展開を通じて市場拡大を目指しています。既に物流・飲食・小売に加えホテル・宿泊での利用が伸びており、介護業界への進出も進めています。地域展開では新潟・宇都宮・兵庫・岡山・熊本・沖縄に営業拠点を新設してカバーエリアを拡大中です。ビジネス拡大の次のフェーズとしては、蓄積したデータを活用したFintech(ワーカー向けの少額融資や決済、資産運用など)や人事領域のサービス(クライアント向けの業務委託や採用代行)を想定しており、これにより手数料収入以外のプラットフォーム収益化を図る方針です。海外展開は市場規模や規制を勘案して段階的に検討するとしています。
同社は技術革新と基幹システムの強化に積極投資しています。プロダクト面ではタイミーメンバーシップ、お仕事リクエスト、パーソナライズ推薦、ワーカープールダッシュボード、NFCタグ出退勤などの機能を開発・改善し、データに基づくマッチング精度とエンゲージメント向上を図っています。大規模化に対応するため基幹システムの安定稼働や開発体制の増強、優秀なエンジニア採用を進める一方で、サービスの即時支払いを支える資金流動性確保も重視しており、2024年10月末時点で金融機関9行と総額33,000百万円の当座貸越・コミットメント契約を締結するなど財務面の備えも整えています。これらを通じて技術面と運用面の両輪でスケールを支える方針です。