日本国土開発JP:1887

時価総額
¥490.9億
PER
22.9倍
土木・建築・不動産・再生可能エネルギー事業の大手。ツイスター工法、キャピラリーバリア、動圧密工法など独自技術を展開。松島どんぐり太陽光発電所50.40MW(2020年12月)稼働や匿名組合への出資実績。日本・東南アジア中心に展開。

事業内容

日本国土開発は土木工事と建築工事を中核に、ダム・橋梁・道路などの社会インフラ整備や公共施設・オフィス・物流施設の建設を手掛ける総合建設会社です。同社は現場の生産性向上を目指し、独自の処分場技術や減容化工法、建設機械の導入やドローンを使った測量などを積極的に進めるほか、建設用機械の製造・賃貸や建材のリサイクル事業にも取り組んでいます。

主要な顧客は国や地方自治体、公共事業の発注者に加え、民間のデベロッパーや企業、さらに自社が運営する太陽光発電の売電先となる電力会社などです。同社の収益は土木・建築の請負工事が中心で、関連事業としての不動産賃貸や太陽光発電の売電、建設機械の販売・賃貸などが補完的に寄与します。

事業は大きく「土木事業」「建築事業」「関連事業」の三本立てで展開しています。土木では造成や復興工事から海洋や地盤改良まで手掛け、建築では設計・施工やリニューアル、食品工場や免震などのソリューションを提供し、関連事業では不動産開発・再生可能エネルギー事業・墓苑などを運営して収益基盤を多角化しています。

経営方針

同社は「中期経営計画2027」において、持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築し「成長軌道への回帰」を実現することを成長戦略の柱としています。最終年度(2028年5月期)における計数目標は自己資本利益率(ROE)8.0%、営業利益90億円で、3カ年で合計740億円の投資を計画しています。財務の健全性確保も重視しており、期間中は自己資本比率40%以上、負債資本比(D/E)0.7倍以下を維持する方針で、最終年度の自己資本を720億円程度確保する目標を掲げています。

重点投資分野は関連事業の拡充で、不動産事業とエネルギー事業を成長の主軸と位置づけています。エネルギーでは自社開発の発電容量を2030年までに現在の127MWから200MWへと拡大する計画で、既存案件の価値向上や屋根置き太陽光の導入、将来的には蓄電池事業参入も想定しています。不動産では優良収益不動産の取得やアセットタイプの拡充、土地区画整理事業による安定したストック収益の確保と、開発不動産の適時売却によるフロー収益の両面で差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では「地域課題解決パートナー」として地方の再生やインフラリニューアルに参入し、防災・減災、復興分野に注力する計画です。土木事業は受注審査の厳格化や施工管理体制の強化で採算性を高め、得意分野に集中することで安定事業への回帰を目指しています。また、不動産・エネルギーを軸に新規事業として地域の資源創出支援を進め、開発資産の価値向上や売電収入による長期的な収益基盤を構築しています。

技術革新への取り組みでは現場の生産性向上と省人化を最優先項目とし、測量にドローンを活用するなどの現場技術、廃棄物処理の減容化や独自処分場技術の導入、建設機械の機能強化を進めています。業務面では人工知能(AI)や作業自動化ツールを導入し、設計と施工のデータ連携(BIM/CIM)や情報通信技術を活用した自動化施工で効率化を図るとともに、全社員のデジタル活用力向上を掲げ人材育成を併走させています。加えて環境面では2050年カーボンニュートラルに向けた目標認定(SBTネットゼロ)を取得するなど非財務価値の向上にも取り組んでいます。