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Will SmartJP:175A
事業内容
Will Smartは、モビリティ業界や自治体向けに、課題発見のコンサルティングからソフトウエア開発、ハードウエアの供給、導入後の保守までを一貫して行うトータルサービスを提供しています。受託開発に加え、機能をパッケージ化したプラットフォーム型のサービスにより、短期間でのIoTを活用したシステム導入を可能にしています。
同社の主な顧客は交通事業者、カーシェアやレンタカー事業者、空港やバスターミナルなどの公共施設、そして地方自治体などで、顧客と直接対話して共創する開発を重視しています。収益はプロジェクトの開発売上だけでなく、保守・運用の契約やパッケージサービスの利用料といった継続的な収入が主要な柱になっています。
事業は単一のモビリティ事業セグメントで展開し、製品ラインは大きく分けて四つあります。屋内外で情報を統合・配信する総合情報配信サービス、販売・予約系システムのクラウド化支援、車載デバイスや予約・決済・会員管理を含むモビリティシステムのモジュール型パッケージ、そして交通データを分析・可視化して政策や運行改善に活かすAI・データサイエンスサービスを組み合わせ、必要な機能だけを導入することも全体で導入することも可能にしています。
経営方針
同社は社会課題の解決を通じて事業規模の拡大と企業価値の向上を目指しています。国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)市場は、富士キメラ総研の予測で2023年度の約4兆197億円から2030年に約8兆350億円へ拡大するとされており、同社はこの成長を取り込むため、受託開発による単発の売上(ショット売上)を増やし、そこから保守・運用やパッケージ利用料などの継続的収入(ストック売上)へつなげることを重視しています。経営の評価指標としてはショット売上・ストック売上の増加と売上高営業利益率を重視しており、短期的な受注拡大と中長期の収益安定化を両立させる計画です。
同社はモビリティ業界と自治体向けのDX支援、地方創生事業、EV関連のNextモビリティ事業という三本柱に重点投資を行っています。差別化の核は、交通事業者や自治体と直接対話して共創する開発姿勢と業界に特化したノウハウの蓄積であり、それによって競合するベンチャーとは異なる独自ポジションを築いています。具体的施策としては、既存サービスの一部をパッケージ化し販売パートナー経由での汎用展開を図ることや、マーケティング投資で潜在顧客を掘り起こすこと、営業と開発双方の人材採用・育成を強化することが挙げられます。
同社は新市場開拓として、従来の民間交通事業者に加え国や地方自治体との直接連携を拡大し、地域交通の再編に対応するMaaS(地域の移動サービス統合)や公共交通の省人化・最適化案件を取り込みに行っています。具体的には自治体向けの政策支援や交通データを活用した運行改善プロジェクトの受注、空港・バスターミナルなど公共施設への導入拡大を目指し、パッケージ化したプラットフォームを活用して短期間での導入と水平展開を実現する計画です。販売パートナーのネットワークを活用して新業界へ広げることも重要な成長手段と位置づけています。
技術革新への取り組みとして、同社はプラットフォーム機能の継続的な拡張と既存機能の改善を優先しています。ハードウエア供給とソフトウエア開発の両面で新パッケージを開発し、車載機器や予約・決済機能を含むモジュールの汎用化を進めることで導入効率を高めます。また、システムの安定稼働とセキュリティ強化に向けた設備投資やバージョンアップを実施し、保守体制の充実と人材育成(インセンティブや研修による専門性向上)で技術力を支える方針です。財務面では資金の流動性確保や金融機関との関係強化により、技術投資を継続的に行える基盤整備も進めています。