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タスキホールディングスJP:166A
事業内容
タスキホールディングスは純粋持株会社で、グループ全体の経営管理を行っています。同社は不動産開発を中核に、IoT対応の新築投資用レジデンスの企画・開発・販売や中古物件の取得・改修・売却、物流施設の企画・開発といった物件ソリューションを提供しています。加えて、不動産クラウドファンディングや私募ファンドの組成・運用、オーナー向けの資産コンサルティングや不動産担保ローンなども手掛けています。
同社の主要顧客は投資家や富裕層、不動産オーナー、法人の開発事業者、個人投資家や中小企業などです。収益は物件の開発・販売やリフォームによる売上、ファンドやクラウドファンディングの手数料、金融サービスの利息・手数料が中心で、用地売却など短期の出口戦略も収益安定に寄与しています。
同社の事業は主にLife Platform事業、Finance Consulting事業、SaaS事業に分かれています。Life Platformでは「タスキsmart」や「ルネサンス」などのIoTレジデンス、リファイニング事業、物流施設開発、資産コンサルティング、TASUKI FUNDSなどを展開し、Finance Consultingは中小企業向けの不動産担保ローンを提供します。SaaS事業は不動産業界向けのデジタル製品を非連結子会社が開発・販売しています。
経営方針
同社は2024年の経営統合を経て、中長期的な成長戦略として2033年9月期の連結売上高2,000億円とSaaS事業の導入企業数1,500社を目標に掲げています。コア事業は不動産開発を軸とするLife Platform事業、資産コンサルやファンド運用などのFinance Consulting事業、そして不動産業界向けのソフトウェア提供(SaaS)であり、これらの有機的成長に加え、M&Aによるインオーガニックな拡大を成長の両輪としています。重点KPIとして棚卸資産残高、SaaSの導入企業数、EBITDA成長率を採用し、財務面では1株当たり当期純利益や自己資本比率、ROEも重視しています。
重点投資分野はSaaSのARR(年次継続収益)増大とLife Platformの拡大で、具体的には機能拡張や精度向上による顧客単価の引き上げ、広告宣伝と営業体制強化への投資を進める方針です。IoT対応の新築投資用レジデンス「タスキsmart」や「ルネサンス」といった物件ソリューションと、クラウドファンディングや私募ファンドなどの金融商品を組み合わせることで、物件販売の瞬間的な収益だけでなく、継続的な手数料収入や融資利息など多層的な収益構造を作る差別化を図っています。同社は人の知見と先端技術の掛け算で顧客に一貫した価値を提供することを目指しています。
新市場開拓と事業領域の拡大では、M&Aを迅速な成長手段と位置付け、既存領域の強化だけでなく不動産テックや関連する新規分野への参入を狙います。具体策としては、即戦力となる人材の採用・育成による組織拡大、グループ内のプロダクト連携やパートナー獲得を通じたエコシステム構築、TASUKI FUNDS等を活用した投資家基盤の拡大などを挙げています。東京都心の賃料上昇や国内外投資家の関心といった市場環境を捉え、物件在庫の積み上げによる次期以降の売上確保も重視しています。
技術革新に関しては、グループ横断のDX戦略研究部を中心にSaaS製品の開発・改良やIoT連携を推進し、システムの安定性確保やセキュリティ強化にも投資しています。具体的には機能追加によるリプレイス需要の取り込みやデータ分析によるサービス高度化、プロダクト間の連携を通じた顧客価値向上を行い、これがARRと顧客単価の底上げにつながる計画です。併せてサステナビリティ委員会を設置し、カーボンニュートラルや安全で回復力のある街づくりといったESG課題にも取り組んでいく方針です。