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マテリアルグループJP:156A
事業内容
マテリアルグループは、PR発想やストーリーテリングを核にブランドの成長を支援するマーケティングコミュニケーションの専門集団です。同社は主にPRコンサルティング、デジタルマーケティング、PRプラットフォームの三事業を展開し、メディアやSNSを使って企業の認知向上や関係構築を図っています。
主要な顧客は大手企業から中堅・中小、スタートアップまで幅広く、事業ごとにターゲットが分かれています。同社の連結売上ではPRコンサルティングが約84.6%を占め、デジタルが約11.1%、プラットフォームが約4.3%で、収益は案件ごとのスポット契約、期間契約、ツールの月額課金など多様な形態で上がっています。
事業別には、コアのPRコンサルティングでプロジェクトチームを組みテレビPRやイベント、SNSキャンペーンなどの企画・実行を行っています。デジタル事業では広告運用や制作に加え、Web接客ツール「Flipdesk」の月額提供でサイト上の接客を改善し、プラットフォーム事業は採用支援やソーシャルコマース支援、プレス向けクラウドサービスや広報フリーランスのマッチング等を提供しています。
同社の強みは、グローバル水準のプランニング力と優秀な人材の確保、連続的なM&Aによる事業拡大力です。持株会社体制で管理機能を集約し、グループ各社が連携して顧客に一気通貫のサービスを提供できる体制を整えています。
経営方針
同社は2026年8月期〜2028年8月期を対象とした中期経営計画を掲げ、PR発想を核に「マーケティング業界の第4極となる」ことを目指しています。市場機会として日本の広告市場は2024年に7兆6,730億円、うちインターネット広告は約3兆6,517億円と拡大しており、同社が主に狙う領域は約8,400億円と想定しています。経営の評価指標として売上高、粗利、営業利益、EBITDAを重視しており、PR事業の成長性を示すPRパーソン数や、1人あたり月次粗利といった生産性指標でも進捗を測る方針です(2026年以降は国際会計基準適用に伴い、のれん償却前の営業利益も主要指標に加えます)。
同社は人材採用と教育に重点投資し、特にPRコンサルティングとデジタルマーケティングのプロフェッショナル人材を増強することでサービス供給力を高めています。福利厚生や研修の充実、グループ内での人材交流を通じて多様な経験を積ませる制度を整備し、業務フローやプロジェクト管理の高度化で1人当たりの生産性向上を図ります。差別化の源泉は「PR発想/ストーリーテリング」によるブランド設計力と、持株会社体制でのグループ連携、そしてM&Aで得た周辺領域のノウハウを組み合わせた一気通貫のサービス提供です。
新市場開拓では、プラットフォーム事業をTikTokを軸に拡大する計画を掲げており、採用支援を行う子会社やソーシャルコマース支援の子会社を中心に成長を加速させます。さらに東南アジアへの進出を開始しており、自社拠点の立ち上げや現地PRエージェンシーとの業務提携・M&Aを通じて現地市場を取り込みます。参考数値として東南アジアの広告市場は2025年で約283.4億米ドル、2030年に約565.1億米ドルへ拡大が見込まれており、同社はこの成長を取り込むことで日本企業の海外展開支援も強化します。
技術革新については、人工知能(AI)を活用した業務改革を重要施策と位置づけています。具体的にはAIエージェントを使った定型作業の自動化や、プロジェクト管理の自動化によってPRパーソンやデジタルマーケターの生産性を大幅に向上させる取り組みを進めています。加えて、情報流通の設計やナレッジの形式知化、SaaS型サービスの拡充によって、属人的な作業を減らし、顧客への提供価値と請求単価の向上につなげる計画です。