カウリスJP:153A

時価総額
¥82.5億
PER
51.1倍
マネー・ローンダリング対策とサイバーセキュリティ事業の有力企業。法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」を展開。国内金融機関や通信・インフラ事業者への導入実績、2024年12月期に月間約5.5億件のモニタリングと検知率約1.77%の実績。

事業内容

カウリスは、犯罪のビッグデータと独自のアルゴリズムを組み合わせて、クラウド型の不正検知サービス「Fraud Alert」を提供しています。同社は情報インフラを共創する方針のもと、実用性の高い先端技術で不正アクセスやマネー・ローンダリングをリアルタイムに検知します。

主な顧客は銀行・証券・資金移動業者・暗号資産事業者などの金融機関に加え、通信キャリアや電力・ガスなどのインフラ事業者やサービス事業者など幅広い業種です。収益は月次の継続課金(MRR)を基本に、アクセス数やユニークユーザー数に基づく料金体系と、モニタリング改善などのコンサルティング収入で構成されています。

事業は単一セグメントの不正検知事業で、Fraud Alertはログイン検知、入出金検知、新規口座開設検知の三つのサービスで構成されています。端末情報やIP、行動履歴などから「本人らしさ」を判定してリスクが高い場合のみ追加認証や振込中止を行い、顧客間でブラックリストを共有することで業界横断の早期検知を実現するとともに、短期間・低コストでの導入を強みとしています。

経営方針

同社は「情報インフラを共創し、世界をより良くする」という方針のもと、クラウド型不正検知サービス「Fraud Alert」を中核に安定的なストック収益の拡大を目指しています。業績指標としては月次の継続課金(MRR)や契約社数、1社あたりの平均単価(ARPU)、契約残高を重視しており、2024年12月期の年間継続収益(ARR)は約12.6億円、ARPUは約2,246千円となっています。今後もMRRと契約社数の拡大によりARRをさらに押し上げることを目標としています。

研究開発と営業体制の強化に重点投資を行い、金融機関を中心とした顧客基盤を差別化要因としています。すでにメガバンクやネット銀を含む24行、証券会社10社などと取引実績があり、代理店を挟まない直接取引により顧客ニーズを迅速に製品改良に反映できる点を強みとしています。顧客間で暗号化されたアクセス情報を共有するネットワーク効果により検知精度が向上し、導入後の乗り換えハードル(スイッチングコスト)を高めることで解約率の低下と収益の安定化を図っています。

新市場開拓では、中堅・地方銀行や証券会社への導入拡大に注力するとともに、政府との連携を通じた新サービスで事業領域を拡大しています。2019年の規制サンドボックス認定や2024年のグレーゾーン解消で電力契約情報の活用が可能になった事例、QRコード決済事業者間の不正情報共有プラットフォーム(CLUE)への関与など、行政リレーションを武器に実証済みのサービスを横展開する計画です。国際的にマネー・ローンダリング対策市場は高成長(年平均約15.6%の成長率の予測)であり、キャッシュレス比率の上昇に伴う不正対策需要の増加を取り込む戦略をとっています。

技術革新への取り組みとしては、犯罪ビッグデータと独自アルゴリズムを組み合わせたリアルタイム検知機能の高度化を継続しています。Fraud Alertはログイン検知、入出金検知、新規口座開設検知を柱に、端末情報や行動履歴から「本人らしさ」を判定し高リスク時のみ追加認証や振込停止を行う仕組みです。情報管理面ではISMSやプライバシーマークを取得し、データは顧客側で暗号化する運用を徹底しています。2018〜2022年で導入期間を約16か月短縮した実績を活かし、使いやすさ向上と検知精度の両面で投資を続けることで競争優位を維持していく方針です。