JESCOホールディングスJP:1434

時価総額
¥98.1億
PER
8.9倍
再生可能エネルギーや電気通信設備のEPC事業の大手。ワンストップで設計・調達・施工・保守を展開。2001年のベトナム拠点開設や1999年のISO9001取得などの国際認証実績。日本・ベトナム中心のアセアン展開。

事業内容

JESCOホールディングスは持株会社として、再生可能エネルギーや電気・通信、空調衛生に関する設計・調達・施工と不動産の保有・賃貸・売買を中心に事業を展開しています。同社は国内外の設備工事をワンストップで請け負い、太陽光発電や移動体通信基地局、防災無線などの案件を手掛けています。

主要な顧客は建設会社、電気設備会社、通信機器メーカーや自治体などで、これらから設計や施工、保守の仕事を受注しています。同社は受注先を偏らせない取引関係を築き、元請としての比率拡大にも注力して収益性と業務量の安定化を図っています。また、不動産事業で駅近の高付加価値オフィスの賃貸・売買を通じた安定収入も確保しています。

事業は国内の設計・調達・施工、アセアン地域での同様のEPC業務、そして不動産の三本柱で構成されています。国内では太陽光や通信基地局、監視カメラ、商業施設などの設計から施工・保守までを一貫して提供し、アセアンでは主にベトナムを拠点に設計積算や空港・工場・住宅等の設備工事を展開しています。同社は現地での人材育成やデジタル化を進め、低コストでありながら日本品質を維持する体制を整えています。

経営方針

同社は「中期経営計画(2026/8期〜2028/8期)」を掲げ、売上高250億円、営業利益25億円、ROE15%超、配当性向40%を2028年8月期の目標としています。時価総額150億円の実現を目指し、株主還元策として2025年8月期の1株当たり配当金40円を下限に段階的に配当性向を引き上げる方針を打ち出しています。また、資本コスト11%を上回るROEの継続を意識した資本政策を通じて企業価値の向上を図ることを明確にしています。

重点投資分野は国内EPC(設計・調達・施工)を柱に、太陽光発電設備、電気設備、通信システムの三領域を中心に展開しています。太陽光では自家消費型や系統向け蓄電施設の工事に注力し、電気設備ではデータセンターや物流倉庫向けの需要を取り込みます。通信分野では防災無線や監視カメラ、防衛関連の更新工事に展開することで、設計から保守までのワンストップ提供を差別化要素とし、公共・民間を問わず幅広い技術で受注拡大を狙っています。

新市場開拓と事業拡大では、アセアンEPCの強化と不動産事業の転換を柱にしています。ベトナムでは設計・積算部門の拡大により日本企業からの受注を増やすため、若手技術者の育成で300名体制の構築を目指しています。工事部門は日系・欧米系企業からの受注へシフトし、未収入金回収の徹底で黒字化を図る計画です。不動産は割安で取得した再生可能物件をバリューアップしてストック化し、安定収益源の確保とM&Aを通じた事業領域拡大で成長を加速します。

技術革新への取り組みとしては、蓄電池や再エネに関わる工事経験の蓄積、デジタル化による設計・積算の効率化、人材育成による技術継承を進めています。具体的には系統用蓄電所の建設に新規参入したほか、現地での教育プログラムを通じて「日本品質」を低コストで実現する体制を整備します。資金面では保有不動産の運用で流動性を確保しつつ、M&A資金は金融機関や証券市場も活用する柔軟な方針です。