ホーブJP:1382

時価総額
¥14.6億
PER
35倍
いちごの育種から苗生産、栽培指導、果実の仕入、洋菓子メーカー向け販売までを一貫する有力企業。四季成性の自社品種と均一無病苗、低温管理、一段トレーによる通年安定供給を展開。2010年3月・5月、2017年6月に品種登録を行い、中富良野・東神楽の研究農場を保有。全国展開で1年365日対応の流通体制。

事業内容

ホーブは、自社で育種した四季成性いちごを中心に、苗の研究開発・量産から生産農家への苗販売、収穫果実の仕入れと洋菓子メーカー向けの卸売までを一貫して手がける農業事業を展開しています。同社は夏秋期にも国産いちごを安定供給できる自社品種と苗生産のバイオ技術を強みとしています。

主要顧客はケーキ素材などを扱う洋菓子メーカーと苗を購入する生産農家で、収益は苗の販売と果実の卸売が中心です。同社は季節に応じた他産地からの買付けやブルーベリーなどの他果実・野菜、種馬鈴薯の販売も行い、子会社による配送事業も収益に寄与しています。

事業は大きく、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業、運送事業の4セグメントで構成されています。同社は育種から均一で無病の苗を大量生産する技術、全国産地への栽培指導、梱包・低温管理を含む輸送まで一貫したサービスを提供し、夏秋期の国産いちご需要を支える付加価値を生んでいます。

経営方針

同社は安定的な成長を実現するため、育種から販売までを一貫して手掛ける強みを活かし、夏秋期の国産いちご供給を拡大することを成長の軸としています。具体的には自社品種「ペチカほのか(商品名:夏瑞/なつみずき)」「ペチカエバー(商品名:コア)」を中心に苗と果実の販売で収益を伸ばす方針で、国内で夏から秋にかけて流通する輸入いちご(2024年の生鮮輸入量は約2.8千トンが主に6月〜11月に集中)に対して国産シェアを高めることを狙っています。出荷時期の前倒しや採算性重視の仕入れ・販売体制により収益性向上を図り、同社は生産者の所得向上と自社事業の安定化を目指しています。

同社は重点投資分野として種苗開発、果実の品質管理、物流効率化を掲げています。種苗事業では耐暑性や省力化を意識した新品種育成を進め、収量性の高い品種併用で夏秋期の出荷安定を図る施策を取っています。果実事業では梱包や低温管理を含む一貫した供給体制を維持し、洋菓子メーカー向けの付加価値商品供給を差別化ポイントとしています。物流面では子会社の株式会社エス・ロジスティックスを通じて関東圏での営業強化と自社配送比率の引き上げを進め、配送効率向上と収益改善を目指しています。

同社は新市場開拓として国内需要の季節ギャップを埋めるほか、海外展開も視野に入れた品種開発を進めています。具体的には国内の気候変動に対応するため人工環境下での優良果実生産手法を確立し、海外でもニーズが見込まれる特徴ある新品種の開発を行う計画です。また、ブルーベリーなど他果実や馬鈴薯の取扱いを継続して多角化を図り、苗販売から果実の卸売、流通までの垂直統合型モデルを活かして販路拡大を目指しています。これらにより同社は季節変動や輸入品との競争に強い事業基盤を築くことを目指しています。

同社は技術革新を経営の中心に据え、ラボで培った組織培養や大量無病苗生産の技術を現場に展開していく取り組みを強化しています。耐暑性の高い品種育成や、温度・湿度・光を制御する環境下での栽培管理の確立を通じて、猛暑などの気象変動への対策を進めています。さらに、栽培ノウハウの共有と人材育成に投資し、経験に基づく現場力を高めることで新技術の実装と安定生産を両立させることを同社は目指しています。