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Veritas In SilicoJP:130A
事業内容
Veritas In Silicoは、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする低分子医薬品の創出に特化し、コンピュータ解析と実験技術を統合したibVISプラットフォームで製薬会社と共同創薬を行っています。独自のRNA構造解析ソフト「MobyDick」や定量化したスクリーニング法(qFRET)などを使い、mRNA上の標的構造を探索して医薬品候補化合物まで到達する一連の創薬プロセスを実行しています。
同社の主要顧客は大手製薬会社や創薬企業で、東レ、塩野義製薬、ラクオリア創薬、武田薬品工業などと複数の共同研究を進めています。収益は契約一時金、年次の研究支援金、研究・開発のマイルストーン、将来のロイヤリティなどで構成され、2024年末時点で約8.3億円を受領しており、既存契約から短中長期での追加収益ポテンシャルを有しています。
事業は創薬プラットフォーム単一セグメントが中心で、ターゲット探索→スクリーニング→ヒット検証→リード最適化をワンストップで提供する点が強みです。加えて、核酸医薬(ASO)やmRNA医薬など自社パイプラインの創出にも着手しており、2025年度以降はプラットフォーム事業に自社パイプラインを組み合わせるハイブリッド型へ移行する計画を掲げています。
経営方針
同社は2030年をめどに「スペシャリティファーマとしての地歩を確立すること」を中長期目標としています。その達成に向けて、まずは創薬プラットフォーム事業の収益基盤を強化しつつ、2025年度から自社パイプラインの創出を本格化させるハイブリッド型へ移行する計画です。具体的には契約一時金や年次の研究支援金、開発マイルストーンや将来のロイヤリティといった複数の収益源を確保する方針で、2024年末時点で約8.3億円を受領している実績を踏まえ、2025年度には新規契約の締結目標を設定しています(2025年度は合計で4件の契約を目標とし、交渉中の秘密保持契約から3社と本契約を目指すなど、KPIに基づく進捗管理を行います)。同社は長期的に株主価値の向上を図る経営を目指しています。
重点投資分野は、mRNAを標的とする低分子創薬と核酸医薬の両面です。技術面では、同社独自のインシリコ(計算解析)技術に基づくプラットフォーム「ibVIS」を中核に、RNA構造解析ソフト(MobyDick)や定量スクリーニング法(qFRET)などを組み合わせ、ターゲット探索からリード最適化までをワンストップで提供できる点に注力します。差別化戦略としては、多種多様なターゲット構造を同定できる探索能力と、複数の製薬会社との共同研究で蓄積したノウハウを強みに掲げ、競合他社と比べてターゲット探索の優位性およびプロジェクト遂行力で差を付けています。併せて特許出願・国際展開やソフトウェア・データベースの秘匿化を進め、技術の独占性を確保します。
新市場開拓と事業拡大では、従来の国内中心の事業開発に加え、欧州市場での連携強化に注力し、共同創薬契約の獲得を加速させます。事業モデルは当面プラットフォーム型を拡大しつつ、2025年以降は自社で核酸医薬や低分子のパイプライン創出を進め、2025年からは年間1本の自社候補創出をKPIに据えています。また、スペシャリティファーマとして求められる組織・機能・人材の整備にも投資を行い、研究開発から上市後の事業運営までを見据えた態勢を整えることで、持続的な成長と株主価値の向上を図ります。同社は着実な契約締結と自社パイプラインの両輪で成長を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、大学等との共同研究を通じた基盤技術の強化や、社内ソフトウエア・データベースの高度化を継続的に進めます。具体的には、解析精度向上のためのアルゴリズム改良や実験法の標準化、臨床までの時間短縮とコスト低減を念頭に置いた候補化合物の優先順位付けを実行します。さらに、弁理士等と連携した積極的な特許出願と国際展開、社内人材の採用・育成によって技術競争力の強化と独占性の維持を図り、将来的に社会に責任を持って医薬品を届ける体制づくりを進めています。